2009/12/05

日本の地方中小企業がやるべきこと

 100年に1度の不況と言われるこの時代こそ、日本を変えていくチャンスだ。民主党政権になって政府の緊急対策に注目が集まっている。重病患者への対処療法は必要だろうが、何でも国に頼る姿勢でいいのか。かねがね日本がよりよい国になるときの指標はQOLで世界のNo.1になることだと思っている。その道は遠いが、まず恵まれた自然と土地の規模がある国土の有効利用をすべきだ。 東京への一極集中の排除。そのためには地方都市だけでなく、農村にまで元気な産業たくさん作る必要がある。
 その際に大企業に頼っては駄目。特に国際企業には所詮その地方のためにどう頑張るかの視点がない。地方に工場を作っても、中核は本社の人員で、為替の問題で生産を海外にシフトする場合はその工場を手放すことを厭わない。やはり地元の中小企業をもっと元気にする必要がある。 
 モデルは欧州の地方産業。広大で緑の芝生に覆われた、牧場を走り抜けていくと、その先に納屋を改造したオフィス。中には別荘的な作りのインテリアと最新鋭のコンピューターシステムの入ったオフィス空間。赴任時代にそういう地方(というか田舎)の中小企業をいくつも目撃している。イギリスの地方都市はそれぞれに産業を持ち、それぞれの地方が独立経営でなりたっている。新鮮で安い食事にありつけ、環境と空気がいい、ストレスも少ない、家も安い。地方や田舎にオフィスを持つのは、いいこと尽くめだと思うのに、現実の日本は過疎化が進んで出口が見えない。そこそこの地方都市でも、週末の買い物時だというのにシャッターが閉まりっぱなし。現金収入の口を得るために、国からの補助金を利用して、必要もない道路を作り、車の通らない道で工事中の案内係りを若者を雇う。 
 海外と比べると、むしろ日本のように一極集中の国の方が異質といえる。どうすればいいのか。
 まず、親会社や元請企業だけを当てにしない。国が何かしてくれる、という期待をしない。自分で何とかするという視点。ここがスターポイント。実は日本の中小企業には国際的に比較しても「売り」になる技術や経験がたくさんある。そこにまず自信を持つ必要がある。日本が経済的に強くなったのはトヨタ、ホンダ、ソニーのおかげではない。それを支えた広汎な下請け中小企業の努力がある。本来、海外の投資家が狙うべきは日本の国際企業ではなく、そのヒエラルヒーの下部に居る中小企業だろう。その意味で自分たちが実は宝の山だという自覚が必要。では自分の強みは何か、それを知る必要がある。 従来、元請の言われたとおりにやっていた会社だと、自分の強みが意外にわからない。それを見つけるためには思い切って販路を広げることが大切で、その競争の中でもまれ、自分の強みを発見していくことが出来る。その強みを支えるのはやはり「人」であることも忘れてはならない。

 以前、中国・上海の官営印刷メーカーが、埼玉の中堅印刷機メーカーを買収した経緯をNHKのドキュメンタリーで見た。上着もよれよれの上海から派遣されたたたき上げの中国人社長がまずやったことは、旧経営陣の役割を見直し、年齢別ではなく職能別に役職を変更したこと。かつての上司が部下になるなど、経営体制を実力主義に変えている。
 ここまでは十分予測できる。驚いたのは、首切りされていた60歳以上の工員を呼び戻した事だった。このメーカーの製品もコンピューター化されて、いわゆるアナログ的な年配の工員はコストカットのためにどんどんリストラされていった。 それでも経営は良くならず、結局中国企業に買収されてしまうわけだが、この中国人社長はそのリストラが失敗の原因と見抜いたようだ。他にもさまざまな改革を加え、同社たたちまち蘇った。

 製品の品質はコンピューターだけで決まるわけではなくて、ボルトの締め具合、パーツのはめ方など、非常にアナログ的なノウハウの結集でもある。それは安いからと言って代わりに雇われた派遣社員が教えてくれる人もなしにゼロから編み出せるものではなく、何十年もその工場で先輩から受け継いで学ぶべきものだ。それを首切りされた年配の工員は持っていて、それを宝の山だと見て取った中国人社長が賢いわけである。

 恵まれた人は、自分が恵まれていることに気づかない。私はこの中国人社長の能力に疑いを持つつもりはまったくなく、優れた人だと思うのだが、同時に中国人として自国の工場のレベルを良く知っていたことがが幸運だったのだと思っている。 自分たちが持っていない部分を日本のメーカーに見出した、それで日本メーカーの本当に優れたところが見えたのだと思う。優れているのに使い切っていなかったところも気づいたのだろう。
 自分たちの強みは人にあること。ではどこが強いのかを知るには、まず比較すること。そのためには自ら自分たちが比較される別な市場に乗り出していく必要がある。 

駆けつけ前の一杯のお茶

 30年前の大学生時代、北京の大学に一ヶ月の語学研修に行った。 旅行目的では中国へのビザを簡単に取れなかった時代だった。 中国も外貨が稼げて都合が良かったのだろう。 大学生中心の30名程度のグループになったと思う。 その中に、山口から来た50歳位の男性がひとり混じっていて異質だった。 地元企業を率いるオーナー社長の息子さんらしかった。 見るからに健康そうだったが、毎日大学の食堂で食べていると調子が悪くなるものか、しばらく入院したかで見えなくなった。 終業式(?)のときに治って現れて詩吟を吟じてみなを驚かせた。 なるほどこういう年齢の人は詩吟をやるのかと妙に感心したものだった。 この人を含めて、宿舎の私の部屋に近い人たちで集まって、小さなテーブルに酒を並べ、ベッドをソファー代わりにして夜更けまでよく語り合った。 おそらくそのときにこの人から聞いた話をその後もずっと覚えている。
 地元の消防団に参加しているらしく、火事のときには駆り出されるそうである。 夜中に警鐘が鳴るのか、あるいは電話で呼び出されるのか、とにかくがばっと寝床から飛び起きるそうだ。 普通われわれが考えるのは、そのまま防災服でも着込んで慌てて飛び出していく姿だが、この人は出かける前にタバコを一服していくのだそうである。 「気を落ち着かせる」ことで、いい仕事ができ、かつ「自分の身も守れる」のだそうだ。 「タバコを吸わない人はお茶でいい。 一杯ゆっくり飲んで、そして・・」、すわ、鎌倉と駆け出すのだろう。 大事の前に自分を落ち着かせるための工夫。 タバコはとうの昔に辞めて、お茶もカフェインが駄目な私の場合は、ジュースか深呼吸だろうか。 そういう大事が起きたときに、この話を思い出せるかが心配ではあるが・・。 

2009/11/22

漁師町リスト (日経新聞から)


 日本を恋しく感じるのは、キリッと冷えた日本酒と新鮮な魚を前にしたときだろう。 しかも獲りたてならなおよし。 ということでまだ行っていないけど、ここに行かずして死ねない「専門家が選ぶ冬こそ行きたい漁師町ベスト10」。 2009年11月21日の日経土曜版に出ていたのでノートしておく。

1) 氷見(ひみ) 富山県氷見市
 寒ブリが有名。 北海道から南下するらしいが、横浜の魚屋でも売っているワラサとかイナダが、北海道を回ってブリになるのだろうか? ブリしゃぶというのは聞いたことがあるが、よほど鮮度が良くないと駄目なのだろう。 獲りたてを氷水で仮死状態にしたまま漁港に運ぶのだそうだ。 富山は酒も旨いところ。 最高だね。 

2) 境港(さかいみなと) 鳥取県境港市
 2003年に山陰を旅行したときに近くまで行った。 冬は寒いところ。 ゲゲゲの鬼太郎のふるさと。 ここは松葉ガニが名物。 

3) 安乗(あのり) 三重県志摩町
 伊勢エビだろうと思ったら、意外なことに天然とらふぐのスポットらしい。 身を傷つけないように船上で入札するそうである。 ・・・なるほどこれならさぞかし旨いだろう。

4) 勝浦 千葉県勝浦市
 横浜の魚屋に良く並ぶキンメダイはここから出荷される。 これも冬が旬だそう。

5) 浜坂 兵庫県新温泉町
 松葉ガニと温泉のセットで、うれしさダブル。

6) 呼子 佐賀県唐津市
 30年ほど前に唐津に行く途中のドライブイン的な料理屋で食べたイカの生き造りはいまだに頭から離れない。 透き通った身、点滅する小さな黒い斑点。 あのとき確かドライバーだったので酒が飲めなかったのがいまでも恨めしい。 その後何箇所かのレストランで生き造りを食べたのだが、いまだ呼子のカンゲキは呼び戻せない。

7) 塩釜 宮城県塩釜市
 生マグロの水揚げ基地。 東北は憧れの地。 ここで三陸沖の近海魚がなんでもそろう。
人口当たりの寿司屋の数は日本一。 ちかくに景勝地松島がある。 酒も旨そうだし、最高の贅沢ができそう。

8) 平潟(ひらかた) 茨城県北茨城市
 30年以上前に福岡で祖母が出身地の福島の親戚からドーンと送ってきたアンコウを、お手伝いさんと一緒にさばいてくれたあの味が忘れられない。 アンコウの肝とみそを溶かした汁が旨くて仕方なかったが、「どぶ汁」と平潟では呼ぶらしい。

9) 厚岸(あつけし) 北海道厚岸町
 カキが旨いらしい。

10) 那珂湊(なかみなと) 茨城県ひたちなか市
 ここもアンコウ。

 こうやってリストを作りながら、本当に口の中に涎があふれてきた。 あー、行ってみたい。

2009/08/23

DNAの解読技術

 NHK教育の番組でDNAの解読技術の最前線を見て、いま大変なことになっていると知った。
クリントン時代にゴアが音頭を取って、人のDNAの全てを解読することを国家戦略として行っていた。 
ところが、現在は技術がさらに進み、あと数年もすると体温計で熱を測るような手軽さで自分のDNAを知ることができるそうだ。
  • 人のDNAは30億個の塩基からなっている。
  • 1985年頃は一日に読める塩基の数が1000個程度だった。
  • 1998年には92万個。
  • 2005年は7億個。 
    (4,000万円のコストが一人分のDNA解読に掛かっていた)
  • 2008年は10億個。
  • 2009年の最新式は30億個。 (300万円に低下)
  • 2010年には4200億個以上の装置が出てくる。 
    (2015年頃には一人当たりのコストは1000ドル程度になる可能性が高い)
 この読み取り性能の向上スピードはCPU性能の毎年2倍と比較にならないくらい早い。 いずれ生まれたときからDNAを解析して、病気や障害を調べるなど医療に役立てるため、個人IDカードに書き込み、それを保険証にして持ち歩くようなことになりそう。

 一方で最近DNAを証拠にした冤罪が発覚して、釈放された元容疑者がいたが、DNAが30億個の塩基からなっている現実や、かつては塩基ひとつひとつを調べるだけでも大変な時間をかけていたことを考えると、犯人特定や親子関係確認などは非常に怪しい。 今後その精度は驚異的に改善されていくだろうが、過去の鑑定結果は簡単に信用できない。 生半可なDNA信仰は、やめたがいい。

2009/08/16

いまの流行言葉の浦島太郎分析

 2006年の5月に帰国するまでの10年間(実際にはテレビ企画をしていた2001年からの1.5年は日本にいたが、オフィスに缶詰で世の中を見ることはできずに過ごしていたからカウントしない)に日本語はかなり変わった。浦島太郎のように、へーそんな使い方するのか?と驚くことやら嫌悪感を抱くこともあり、覚えに書いておく。 ここに書いてある言葉や状況は10年前には存在していなかった。 盆休みに夏風邪で休んでいたときに家内と戯れに書き出してみた。 

*超xx。 

 「超ウレシー」などと使う。 永ちゃんが缶コーヒーのコマーシャルで「超オッケーっすよ」と後輩に言われていた映像は、たしか家内の実家の母親が送ってきてくれたビデオに写っていた。

*結果を出す。

 家内が嫌いな言葉。 結果は出るもので、それをいいたいのなら「良い結果を出す」と言うべきなのに、NHKのアナウンサーまでもが使う。

*xx的には、xxだ。

 会社で使っていて、どうもいただけないと感じたが、最近は慣れてきて自分でも使っている。 「自分的にはこう思う」とか使う。 自分の代わりに、所属する部署や会社名を入れる。

*ま逆

*かぶる

 重なっていること。 一緒であること。

*尻上りアクセント

 ドラマは、高低低のアクセントだと思われるが、最近は低高高になっている。 クラブなど外来語にこれを使うようだが、ちょっとした日本語の漢字3文字単語にも使うケースが見られる。 NHKのアナウンサーも使っているのはビックリ。

*元カレ、元カノ

*カリスマxx

*ヤンキー

 これはしばらく、本当に意味が分からなかった。 アメリカ人の事?と思っていた。 

*セレブ

*スベル

 これも何を言っているのか分からなかった。 いまも正確に理解していないかも知れないが、芸人のギャグが上手くいかないときに言うようだ。

*かむ

 これも話している最中で言い違えることらしい。 

*べた

 これはまだ正確な意味を把握していないが、そのまんま、単純、教科書通り、のようなニュアンス? 

*チゲクナイ?

*ハン(韓)流

*ひな壇芸人とジャニーズ、グラビア・アイドル

 ことばではないが、テレビにやたら出ているのにはびっくり。 放送局は能無しではないか。 それにしてもひな壇芸人というのは最初意味が分からなかった。 グラビア・アイドルというのも、いまひとつ理解してない。

*はあ?

 低・高のアクセントで発音する。 昔は高・低。 使わないことはなかったが、頻度がやたら多い。 おい、何言ってんだ?というニュアンスで、若者言葉。

*何気に

 広辞苑に載ってしまったらしいが、若者言葉。 なにげなくの意か?

*やばい

 やばいという言い方は昔からあったが、いい意味で使う。 

*サムイ

 上手くいかない状態を指す。 昔はcoldの意味しかなかったと思う。

*ドM、ドS

 サド、マゾと訳すと僕らはかなり危ないことを連想する。 

*ウザイ、キモイ

*きも可愛い、ぶさ可愛い、いた気持ちいい

*イタイ
痛いではなくて、痛々しい、みっともない

*ギリ

*イッパイイッパイ

*ナマステ

 ヒンドゥー語のこんにちは。 何故かみんな知っている。

*半熟玉子のことを温泉卵と呼び、しかも売っている

*あぶりxx 
いろんなものを焙って食べるのが流行っている。

*xx漬け

 いろんなものを何々漬けにして食べている

2009/07/24

ネットワークはなぜつながるのか 戸根勤著       (日経BP社)


 TCP/IPとは何か、断片的にネットで調べても分かったような分からないようなで気持ちが悪い。それでこの本を手に取ったものの、これまた私には難しく全体の10%程度しか理解できなかった。 そこで大手コンピューターメーカーが主催しているTCP/IPネットワーク基礎という一日講座に、新入社員らと席を並べて受講してみた。ようやく全体像が少し掴めてきて、理解度20%に上がった。

 TCP/IPとは何か。例えて言うなら、文法のひとつ。インターネットを現代の世界共通言語である英語だとすると、TCP/IPとは英語の文法と考えればいい。例えば戦争やパニック映画で出演者同士がトランシーバーで連絡を取り合う場面で、「・・・・です、どうぞ!」「・・・ですね、了解しました、どうぞ!」と、相手が言うことをいちいち繰り返して確認する場面がある。 これと同じことがTCP/IPという文法上の決まりごととして行われている。 以下、パソコンからネットワークを通してどうやってインターネットにつながり、データを取ってくるかを簡単にみていく。

I. パソコンのブラウザから指示を出す

(ア) パソコンのOSがマイクロソフト社であれば、すでにInternet Exploreというインターネットを見るためのソフトが搭載されている。 最近ではGoogle社のChrome。アップルのパソコンであればSafariがある。 これをブラウザと言う。

(イ) ブラウザを開くとURLを入れるボックスがある。 ふつうはここにアクセスしたいインターネットのアドレスを入れるとか、あるいは既にアイコンが出来ている場合はそのアイコンをクリックすることで見たいインターネットの情報につながる。URLとはUniform Resource Locatorの略で、http://ではじまるおなじみのアレ。 実はファイルをアップしたりダウンロードするだけの機能を持つftp:とかmail to:など。これらすべてをURLと呼ぶ。 ここで取り上げるのはhttp:。いわゆるインターネットと言うときは殆どこれをイメージしている。このアドレスはインターネットにつながっている特定のコンピューターにデータがたまっていて、それを探すための番地なのだが、このアクセスに利用する取り決めをHTTPプロトコルと言う。そしてデータがたまっているコンピューターのことをWebサーバーと言う。 (HTTP: Hypertext Transfer Protocol)

(ウ) 整理すると、パソコンのブラウザからインターネット上のwebサーバーにある、写真とか文章とか、動画とか・・、そういうデータをやり取りするときはHTTPという言語文法を使っていて、ブラウザがアレを見たいとwebサーバーに伝え、webサーバーは、はい、渡すよ、と言う具体にやり取りをしている。

(エ) ところで、このままだとパソコンは世界に何億台かあり、サーバーも何百万台かあって常にワイワイガヤガヤとやっているので会話が出来ない。渋谷のハチ公前で大勢の人だかりがして、せっかくのデートにA君とB嬢が出会えないでいる状態だ。 つまりお互いが広大なインターネットの海のどこにいるのかを特定する携帯電話と電話番号のような仕組みが必要になってくる。ここで登場するのがIPアドレス。Internet Protocolの略。これは世界に一つしかない住所だと思えばいい。 例えば192.168.255.255のように最大12桁の数字であらわされる。 直ぐ気づくのは、URLにアドレスを入れるときはこういう数字ではないということ。 普通はwww.sony.co.jp/というアルファベットのはずである。この理由は12桁の数字では、人間が使うときに間違えやすいことから来ていて、インターネットの仕組みを考えた人たちが作った工夫である。 実際、www.sony.co.jp/というサイトには211.125.132.134というIP アドレスがしっかりついている。ではどこでそれが分かるかというと世界中にDNSサーバー(Domain Name Server)にその対照表がある。 A君がうっかりB嬢の携帯番号を忘れてしまい、番号案内に問い合わせる、という作業をし、その上で改めて電話を掛ける。 その電話案内104DNSだ。

II. パソコンからインターネット、そしてパソコンに返るまで

(ア) ちょっと複雑になってくるのはここから。 ブラウザとネット上のwebサーバーの間にはパソコンだとか、ネットワークだとかが介在する。 実はそれぞれに別な言語の文法が存在していて、なおかつ、パソコン語、ネットワーク語、インターネット語と使い手によって違うことである。ブラウザとwebサーバーはそういう言葉と文法の壁を越えて会話しないといけない。どうするか。

(イ) A君とB嬢のラブレターのやり取りをしていると考える。いまどきは携帯メールで済ませてしまうのだろうから、ちょっと古風な例えだが。A君とB嬢は当然同じ言語で、同じ文字と文法を利用しているのでラブレターの会話が成り立つ。これはブラウザとwebサーバーの間で使われるHTTPである。 さて、二人はそれぞれ日本と南米あたりに離れて住んでいると仮定する。どうやってレターをやり取りするのか。 まずDNSサーバーで、相手の住所を確認する。その上で手紙を封筒に入れて宛名と住所を書く。海外に送るのだから当然、アルファベットで英語かスペイン語を使って書く。 A君が郵便ポストに入れて、はい終り。 ここまでがブラウザ、パソコン、ルーター(後で詳細説明)の作業。 

III. しかし実際の郵便の作業はここから始まる。 郵便業者はレターの中身まで分からないし、知る必要もない。封筒の宛名と住所を頼りに、まず国際郵便だと分かると空港に送る大きな袋にその封筒を入れるだろう。その袋には当然、xx空港局宛てと書いてある。 空港局に来たら南米のどこどこの国だから、どの飛行機にのせるか決め、同じ国宛ての他の郵便と一緒に空輸用のジェラルミンボックスに詰めていくだろう。そのボックスにはAirway billと言って、関税や航空会社で必要とする情報が書かれている。 送付元、送り先、飛行機の名前、日付、中身、重量、航空会社の管理番号、郵便事業者側の管理番号等々。先方に到着したら、逆に空港内から各地域向けに封筒の仕訳が行われ、送り先の住所に近い郵便局に届けられ、そこからB嬢にようやく届けられる。 この作業がインターネットの仕組でTCP/IPになる。

IV. データの通信とは

(ア) ここで根本的なことにもどる。データとは何か。 コンピューターの世界では常に、10かの2進法である。つまりonoffかしかない。その組み合わせで信号(データ)を表す。モールス信号を思い出すと良い。子供の時にSOSだけは覚えた。ツ・ツ・ツというのがS。ツー・ツー・ツーがO。だからSOSと言いたいときは、ツ・ツ・ツ・ツー・ツー・ツー・ツ・ツ・ツである。基本は全く同じ。 コンピューターのソフトウェアは膨大なプログラムで出来ているが、その基礎部分は全く同じでon, offの組み合わせで文字を表し、意味を持たせる。 それによってコンピューターへのさまざまな仕事の指示、命令、記録を行っている。

(イ) ではデータを通信する、送るというの何か。 パソコンの内部回路にせよ、ケーブルを経由するにしろ、ワイヤレス伝送にせよ、片側からon, offを繰り返すことでツ・ツ・ツーと送っている。 受け取る側はそのツ・ツ・ツーを以て、暗号を解読するように、これはどういう意味だと確認して、翻訳したデータを表示する。

(ウ) 一方データが野放図に長く送り続けられると、途中の通信回線の事情で不都合になることがある。一部のデータが消えてしまうと、せっかく長々と送り続けていたデーターが全部無駄になってしまう。その間の伝送時間、ふさがっていた回線、その間送るのを待っていた他のデータの遅延時間すべてに影響がでてくる。 そこで、データを一定のルールにもとづいて分割し、それによってデータが消えるリスクを低くし、回線内の交通量をコントロールしやすくしている。このように分割されたデータをパケットと呼ぶ。

V. イーサネット(Ethernet):パソコンからルーターまで

(ア) インターネットに出る前、つまり家庭のADSLや光回線のモデム(普通はルーターの機能がある)に接続されるまではLANという。Local Area Network。ちなみに企業の支店同士をつないだもっと大きなネットワークをWAN (Wide Area Network)という。 このLANは、お互いにデータのやりとりをするための通信路だが、この規格をEthernetと呼ぶ。 パソコンにはこのEthernetにつなげるケーブルの入り口がついているが、旧式パソコンだとEthernet cardを差し込んで、つなげる。 

(イ) EthernetIEEEというアメリカの電気通信団体で決められていて、伝送速度が10Mpbs10BASE5100Mbps100BASE-TX1Gbps1000BASE-SXなどの種類がある。 現在の主流は10BASE

(ウ) LANの中には複数のパソコンがあることが想定されているので、それぞれに識別番号を与えないといけない。 どこでどういう組み合わせのパソコン(あるいはEthernet card)が使われるか分からないので、世界にひとつしかない固有の名前でないと問題が出てしまう。 それがMACアドレスというのもで、12桁の数字で表されている。

(エ) LANの中だけの閉ざされた環境でデータをやり取りする場合はこのMACアドレスがつく。 前出の例だと、ラブレターの文章が実際にはon, offの信号に置き換えられてデータになっているが、それに送り主と宛先のデータを入れないといけない。 それがMACアドレスで、この12桁の情報が付加されて、送られる。

(オ) コンピューターがたくさんLANの中にある場合はハブ(HUB)というものを入れることで複数のコンピューターをつなげることができる。ハブにはいくつか種類があるが、まず伝送距離を延長するために信号の波形を整形する機能がついている。いわゆるスイッチングハブは、それに加えて接続しているコンピューターのMACアドレスを自分で作ることが出来、言ってみれば小さな村の中だけの手紙を配達する郵便局のような機能を持っている。

VI. ルーターからアクセス回線、そしてwebサーバーへ

(ア) ルーターとはIPを住所番地として利用し、郵便物をどこに届けるための配送担当の役割を持っており、その意味でInternetへの入り口である。見た目はHUBと変わらずEthernetのソケットがいくつも付いている。それぞれにIPアドレスとMACアドレスが割り振られている。インターネットとLANの世界をつなぐゲートウェーであるのがルーター(Router)。ただし最近はHUBRouterの機能がひとつになっていたり、家庭用の光ファイバーモデム、ADSLモデムがRouterの機能を持っていたり、複合化が進んでいる。

(イ) ルーターには経路テーブル(routing table)があり、受け取ったデータの送り先IPアドレス(つまり宛先)に応じて、そのデータはどこどこ向けだから、そこに近い方向にあるゲートウエイ(別なルーター)はどれかが書かれている。磯子郵便局で受け取ったハガキに、送り先が東京都港区白金になっていた、だから港中央郵便局に送るか、直送する手段がないので、まずは横浜中央郵便局に送る、というようなテーブルである。 これはネットワーク管理者がひとつひとつ設定していくものだが、最近は自動で近くのゲートウェイを探し出し、設定できるようになっている。

(ウ) ルーターのもう一つの重要な機能がアドレス変換機能。いまのIPアドレスの仕組みは住所番地と違って、数の限界がある。また国際的管理機関により運営されてきているので、取得に時間とコストがかかる。ということで、LANの中だけで利用するために割り当てられたIPアドレスがある。これをプライベートアドレスと言い、インターネット上のアドレスは固定アドレスと言う。 例えば数十人から数百人以上の会社や団体は、固定アドレスを数個持つが、それの100倍のプライベートアドレスを持ち、社内の情報通信はプライベートアドレスを利用し、インターネットにつなげるときのみ固定アドレスを使いまわす。 この使いまわす際にプライベートアドレスをネット接続の際に固定アドレスに対応付ける作業をルーターがこなう。

(エ) ルーターからいよいよ回線業者(NTTとか、KDDIとか)の回線を通じて、そこからインターネットに入って行く。 この回線の中の通信はまたHTTPEthernetとは違う通信プロトコル(文法)をもっている。 例えばルーターからADSLモデムの間はPPPoEというプロトコルが重なる、回線内はまた別な独自プロトコルがある。 例に出したように、もともとのHTTPの恋文は、封筒に入り、運送手段に応じてそれを運ぶ包みや設備が違ってくるが、恋文自体は何も変わらずそのまま運ばれていく。

(オ) 最後にインターネットから、目的地のwebサーバーに届けられる。 コンテナーに入っていた恋文が、郵便箱ごと取りだされ、郵便箱から郵便袋に分けられ、最後は封筒の状態でサーバーに戻ってくる。 そしてサーバーの中で封筒が開けられ、恋文が読まれる。 そしてそこに書いてある指示文通りに、必要とされているsiteの画面、写真や資料をデータとして送る。 ここまでの説明の繰り返しが起こる。

 これを書いている098月に、9日間の盆休みを取った。すると仕事の疲れが出たか、いきなり風邪を引いて寝込んでしまった。 後半朦朧としながら書いている。 それはそれとして、技術の中身より、歴史背景などに興味が行ってしまうところがやはり文系の限界なのだろうが、改めてコンピューター、インターネットの世界というのはアメリカ主導であり、補佐的に欧州がいることを再認識した。1980-90年頃、もうアメリカを追い越した様な気になってバブルを謳歌していたときに、裾野の広いアメリカの若者や学者はこういうことをしていたのだなと、改めて技術革新の奥の深さを感じる。一人二人の発明家ではこういうものは出来ない。それこそモールスやベルの通信黎明期から120年以上も脈々とした蓄積の上に、さらに新たな革新性を加えて発展してきたもので、これは最早技術というよりも、文化そのものなのだろう。 
 この本は、ネットワークを本格的に勉強するための入門書として全体を俯瞰できる。 まだまだ詳細を説明している技術志向の人向けの本だが、お陰で勉強になった。ありがとう。

2009/06/21

「日本のために何ができるんだ。」ゼミの教授の一言

 先日ゼミのOB会に顔を出したときに、聞いた話。 今年の総会の打ち合わせのために、事務局数名で退官して10年近い恩師の自宅に伺った。 80歳近くなられて、すでに好好爺の雰囲気を持っていたはずの先生が、どういう訳かこの日は頭が切れて眼光するどく、ギラギラした感じだった。 座敷で円になってお茶を飲んでいると、先生が「みんなそれぞれ近況報告しろ。」と声をかけた。 ひとりづつ「いまxx会社で、xxに取り組んでいます。」という話を始めると、「そんなちまちました話をしなくていい。 日本にとって何か役立つことをやっているのか!」とそれぞれに一喝したそうだ。 「いえいえ、私が取り組んでいるこのプロジェクトはコレコレ然然で、いい物なのだ・・。」と抵抗を試みる者もいたが、「値段いくらなんだ? どうせ馬鹿高いんだろう、誰も買えやしないもの作って何が人のためになる。」と見透かされてギャフンとなったそうである。

 われわれもすでに50歳である。 はやり言葉でアラフィー。 確かに20歳代の頃はまだ日本のためにと考えていたときもあるが、この年齢になると自分の将来も現実的に見通せる。 せいぜい家族のために働こうというのはむしろ優等生で、ましてはいまさら日本のためにとは考えない。 諦めている。 そこを突いた厳しい指摘である。 おそらくは先生自身の経験の中から、諦めるな、もっと視点を広げて見つめなおせというメッセージを伝えたかったのではないか。 そんなことを考えながらこの話を聞いた。

2009/05/01

横浜中華街のトップ10メニュー

 まあ横浜中華街の「ランキング」はいろいろあって、テレビや雑誌の紹介はあてになるものではないが、偶然中華街に出かけてしまったときの備えに覚えを記す。 

お店の名前 メニュー
山東 水餃子
王興記 エビチリ
龍仙 龍仙粥
重慶飯店 麻婆豆腐
興昌 酢豚
萬珍楼 地鶏の塩魚炒飯

 ネタはテレ朝の関ジャニ∞で、中華街の店主の奥さんのお勧めだったが、これまた信用するべきではないだろう。 他にもあったが、トンでもない値段だったので割愛した。 上記のメニューなら失敗した、と思っても損害は軽微ですむ値段だ。
 こう挙げていくと本場中国で食べたものは殆どないのが不思議。 麻婆豆腐は流石に四川料理として有名だが味がぜんぜん違う。 エビチリや酢豚に至っては、これは中国風日本料理ではないかと思う。
個人的にはやはり日本の中華が一番美味い。 そう言えばイギリスにも中華料理屋はたくさんあって、お勧めはSweet & Sourだったが、これはイギリス人は好きだが、日本人には合わない。 多分日本の中華もイギリスのも、本場中国人にはオリジナルには程遠い不思議な味なのだろう。

追記(2009.11.21) 中華街に行く機会がなかなかなかったが、昨日ある方と昼飯に偶然、龍仙を訪れ、これまた偶然に龍仙粥を注文し、食した。 700円ちょっと。 これはおいしいかった。 他の料理も旨そうだ。店は定食屋程度の大きさで、店員の雰囲気もよし。 看板爺さんは馬さんと言ってだいぶ年配だがカクシャクとして何より愛想がいい。

2009/04/22

「嫌な予感」への対応力

 同僚と「嫌な予感」は現実になると言う話になった。 その予感が何に対してのものか明らかに分かっている場合は対処できる。 問題は思考の中を一瞬で駆け抜ける不安感だ。 その不安が何処から来るか考える間もなく去って行くから、それを思い出すのは大抵実際に問題が起きてからである。 経験的に何か大きなトラブルが起きる前には必ず伏線がある。 そしてその予兆として確実に悪い予感がある。 人間にはそういう「性能」が備わっていると言うことだろう。 ところが鈍感だとせっかくのアラームを気付かずに、あるいはうっすらと気づいていてもわざと無視してしまう。 現実を直視しない臆病者だからか、怠け者だからか、はたまた鈍感だからか。 「結構よく地雷を踏むよね。」ということになる。 何度しくじってもまた踏むのは学習能力がないからかな。 ただとにかく予感は有るのだ。 それをちゃんとセンスしないと・・・ということになった。

2009/04/21

金の卵を産むアヒルの話

 ある優秀なビジネスマンの話を聴く機会があった。 昔から嗅覚が鋭くいろいろなビジネスを生み出し、そのおかげで今でも売れているプロダクトがいくつもある。 その人が言うには「質を数字にできないものか」ということ。 短期的な経営数値はその場の経営判断には説得力がある。 だが「これは商売になる!」という確信は、それを聴く人のセンスによっては何の意味も持たない。 数値化すれば、少なくとも見かけは説得力を持つ。
 顧客と仲良くなる、小さい商売をする、シッカリこなして信頼を得る、そして大きな商売につなげていく。ビジネスは所詮ひとの営みだから数字に置き換えられるものではない。ただこういう三年から五年は係る長いプロセスの前半部分は売上で評価できない。売上どころか、時間と金ばかりかかって「何をくだらないことをやっているのだ。」ということになりかねない。実際、評価されないどころか、止めさせられることが多くなってきているそうだ。そこで前述の、質を数字に置き換える方法はないか?と言う話になる。

 知り合いの学者によると、やはりそんな手法はないらしく、まだブレスト中とのこと。面白い例として、パテントや意匠デザインの話が出た。発明やデザインが世に評価を受けるのは何年もたってからだが、その時点で収益が戻ってくる。これを応用できないか。
 もっともこれとて完璧ではない。結局は数字は使うものであって使われはいけない。数字を見るときはそれが原因なのか結果なのか、その意味するところの二面性、三面性を見極めるよう気を配るべき。知らず知らず金の卵を産むアヒルを殺してしまっているかも知れないから。2500年も前のギリシャ人もよく知っていたこの問題についての解を我々はまだ探り当てていない。

2009/04/06

水仙と桜

 京都府内に、古い農家を直して住んでいる英国人女性がいる。和洋折衷の洒落た骨董品のような家に住みながら、彼女は庭でハーブを作っている。ハーブティーを楽しむために。
・・・イギリス人にとって水仙の花は、長い冬の終わりを告げて、人びとに元気をくれる特別なもので、日本人にとっての桜と同じです、とその英国人女性は言う。
 ロンドンですらカラフトと同じ緯度の英国の冬は寒いだけでなく、暗くて長い。そこに水仙の黄色い花が真緑の植え込みにすくっと立ち上がるように咲く。緯度の高い地域独特の、朝日のような真横からの陽射しに映えて本当に美しい。確かにあの花を見ていると元気が出る。

 家内は、日本の桜には水仙と違ってもうひとつの意味があると言う。それは「別れ」。
 咲き誇る桜を見るときは、日本に生まれて良かったと思う瞬間だ。ただ家内が言うように仲間と別れる季節でもある。現にここ最近で二回送別会に出ている。まだあと三回やらねばならぬ。 桜の本当に綺麗なのは僅か一週間。はかなさを感じのはそのせいもあるのだろうか。日本のわびさびの感覚に通じるのが桜。英語では表現しにくく、evanescenceという単語が一番しっくりくると有名な通訳者が言った。

2009/04/05

統計でウソをつく法 ダレル・ハフ著 講談社


 これは統計を志す人だけでなく、広汎な一般の人が全て読んだらいいという本。 数字そのものは間違っていなくても、それをどう解釈し、利用するかによって大変な間違いも犯すという警鐘であるとともに、そんな大失敗をいかに防ぐかが書かれている。 原書名はHow to Lie with Statistics, by Darrell Huff。 翻訳は高木秀玄氏。
もとは家内の大学時代、統計学の授業で、すでに総理大臣まで勤めた元教授が薦めた本。 それを読ませてもらったのはもう18年程前だと思う。 あまりに面白く、一晩で読んでしまったと記憶しているが、今回改めて手にとって訳者のあとがきを眺めると、やはり同じ体験をして翻訳を思い立った様子が書かれてある。

【サンプリングの偏り】
例として「エール大学卒業生の年収はなんとxxx万ドル!」と言う統計があった場合、まずその統計のとり方を調べる必要がある。 そもそも卒業生でいまでも連絡を取れる人たちは一部でしかなく、食いっぱぐれて連絡が取れなくなった人たちはこのサンプルに入っていない。 かつ普通の人は給与を聞かれたら多少は誇張して答えるはず。 そう考えると、xxx万ドルという金額は非常に疑わしくなる。

【平均】
平均値と中間値は違う。 平均値は算術的な単純平均。 中間値は、例えば5人を成績順に並べたときの上から3番目、下から3番目のこと。 ある企業の給与平均が月収40万円だとする。 実態としては3人の役員が100万円、残りの平社員7人が10万円しかもらっていないということもあり得る。 でも中間値を取ると10万円ちょっとということになり、むしろそちらのほうが実態を示す数値としては近いかも知れない。 

【小さすぎるサンプル】
この商品には75%の人が満足している、という広告があるとする。 いったい何人に聞いたのか調べてみるべきだろう。 広告の隅に小さく書かれた説明によると、実は実験を行ったデータでしかなく、しかも参加したのはほんの数名だったりする。

【グラフの表現】
例を一目瞭然だが、縦軸、横軸の単位のとり方や省略、あるいは太さなどを工夫することで、見たときの印象が大きく違ってくる。

【原因と結果の誤謬】
ハーバード大学を対象に喫煙する学生の成績を調査して、タバコをすう学生は成績が悪いという統計が発表されたとする。 だが、タバコをすうのは、成績が悪くなったからかも知れないし、そもそもタバコを吸い始めたタイミングからの成績の動きも判らない。


【統計に騙されないための5か条】
★誰がそう言っているのか?
そのデータはどう言った機関、人が出したのか、何を主張するために使われたのかが重要。 政治的、あるいは商業的な団体であれば、普通は自分に都合の悪いデータは出さないだろう。

★どういう方法で判ったのか?
誰に対して調査をし、それがどういう人で、そのうち何パーセントが回答して、そもそもどういう質問の仕方をしたのか。 調査の方法を知ることによって、調査する前から結果がほとんど予測できてしまうこともある。

★足りないデータは何か?
これは隠されているデータをさす。 平均値と中央値のどちらを出しているのか示されていなかったり、ひどい場合は調査データの出所を示していないなどは最たるものだ。

★問題をすりかえていないか?
統計で脳病患者が増えている、と言われていても、本当に増えているのかどうか、単にそれ以前は調査されていなかっただけということもある。 ある国の人口調査で当初は飛んでもなく少ない人口だったのだが、生活保護など福祉を充実するための国勢調査をすると人口が一気に10倍に膨れ上がったこともある。 

★意味があるのか?
選挙予測の統計などは、その時点で調査された人がそう答えただけであって、未来を言い当てるものではない。 科学的に証明されていないことを、もっともらしく統計で出されると、それが事実と誤認することも多い。


【読後感】
※統計は現状分析に非常に重要な学問であり、ツールだと思う。 それと同時に測定の方法は非常に難しいということを、この本を通して改めて知った。 考えてみれば当然で、一般に統計は人が作り出したシステムを測定するために使われるが、そもそも人を測定するための尺度は無限に存在する。 つまりそんなに簡単に数字に置き換えられるものではなく、測定不可能なものの方が世の中には多い。 

※人間というのは弱いもので、数字で表してもらうとホッとして、つい気を許してしまう。 回答が出た気になって考えるのを止めてしまう。 そこが怖い、ということだろう。  脱線するが、ビジネスの世界にいると、なおさらである。 明日儲かるか、明後日儲かるかが判らないときにグラフだけ見て安心したくなるときがある。 

※筆者が使った言葉で上手くまとめてある一節を記す。
「統計というものは、その基礎は数学的なものであるが、科学であると同時に多分に技術でもあるというのが、本当のところである。 ある範囲内でなら、非常に多くのごまかし、あるいは歪曲化でさえ可能なのである。 しばしば統計学者は、さまざまな方法の中から事実を表すための方法を主観に訴えて見出さなければならない。」

2009/03/30

上手になると言うこと

 まだ20台の若手技術者に、少しは尊敬して貰いたくて「俺もマイコンを始めたよ。週末はボードを組立てるんだ。」と言ってみた。
その若手が言ってくれた。
「いいっすね。いいシステムを作れるかどうかは、ボードをどれだけ沢山作ったかで決まるんです。」
 私が、ちょっと予防線を張ろうと「キットを買ってきただけだし、ボードを作っても、上手く動かせないんだけどね。」と言うと、
「だからこそ面白いんでしょう!」

 受験のときに、野球の王選手がスランプになると、まだ練習が足りないと、更に素振りしているらしい、「いわんや君たちは・・」と先生に言われていたのを思いだした。
反復練習はどの時代もどの分野でも大事であることを今頃思いだした。最近インスタントにいい結果を求める風潮があるからこそ忘れずにいたい。

2009/03/29

電話はなぜつながるのか 米田正明著 日経BP



 電話がつながる仕組みと、IP電話、携帯電話の基本を読んだので覚えを書く。

【加入電話】
■まずはお試しテスト;
◎電話機と電話局はそれぞれの家から電話線が蛸足のようにつながっている。 YESかNOか?
 答え: そのとおり。
◎電話機の受話器を上げると、電池につながる豆電球のように電気が流れる。
 答え: そのとおり。 (ただし呼び出しベル用の電線はいつも繋がっている)
◎受話器を上げたらツーと音が聞こえる。 この音はどこから来るか?
 答え: 一番近くの電話局にある交換機が出している。
◎相手の呼び出し音はどこから聞こえてくるか?
 答え: 相手の電話機がつながっている電話局の交換機から聞こえてくる。
◎相手の電話機をリーン、リーンと鳴らしているのは誰か。
 答え: 相手側の交換機が、相手の電話機に信号を送り、鳴らしている。


■電話線は電話局の交換機に直結されている。 ここまでは糸電話と同じ。
 つまり電話は交換機と繋がってお話をしている。


■交換機はたくさんある。 地域ごとに電話局があり、電話局の中には交換機がたくさんある。 そして交換機同士は、地域にある電話局はスター型で、中核の電話局はリング型でつながれている。


■交換機同士は音を流す回線と、コントロール信号を流す、「共通線」と呼ばれる回線の二種類でつながれている。  この「共通線」はIP電話やインターネットにも利用されている概念で非常に重要な仕事をする。 昔の交換士はおそらくこういう仕事をしていたのだと思われる、そんな概念。

■この信号線はSTPと言う信号線専用の交換機につながる。 ある電話番号から別な電話番号に音声をつなぐときに関連する電話交換機に指示を出すのは、じつはこのSTPの役割。 電車のレールが音声回線だとすると、その切り替えと信号機を合わせた役割がこの共通線とSTP。

■大量の音声データは交換機と交換機の間に何千万本も物理的な回線を敷く訳には行かないので、重畳といって、交互に音を流す仕組みを持っている。 なおかつそれをスイッチングすることでさらに複数の音声を回線に流すことができる。



【IP電話・光電話】

■ADSLと光は双方とも電話線が屋外に出る前にアダプター(モデム)を中継すると言う点でそっくりだが、屋外からが光ファイバー(FTTH)を使うか、電話線をそのまま使うかの違いがある。

■アダプターは電話機に対しては交換機のふりをし、ネットワークの先の電話局内にあるSIPサーバーに対しては、パソコンのように振舞っている。
 たとえば受話器を上げたときのツー・ツー音は電話機に直結したアダプターが鳴らしているし、呼び出し音も相手のアダプターが相手の電話機を鳴らしている。 
■SIP(Session Initiation Protocol)とはIP電話同士をつないだり、切ったりするコントロールのためのプロトコルで、それをつかさどる箱をSIPサーバーと言う。 機能としては加入電話における信号線交換機STPと同じ。 IP電話(アダプター)は固定IPは持っていないのが普通で、それでもSIPサーバーを経由することにより相手の電話機までたどり着けることができる。 

■NAT (Network Address Translation)はIPパケットのアドレスを別のアドレスに書き換える機能をさす。 
実は、アダプター側から見えているSIPサーバーのIPアドレスは偽物になっている。 なぜなら電話の盗聴をされたり破壊活動をされないようにするため。 NATサーバーはアダプタとSIPサーバーの間に立ち、SIPサーバーの中身を見られないようにしている防御壁になっている。 




【加入回線とIP電話はどうつながるか】
■信号ゲートウェイ、メディア・ゲートウェイが双方の間に立っている。 このゲートウェイが接続処理をしている。

■信号ゲートウェイは、IP電話用アダプタからはSIPサーバーに、加入電話からは信号線交換機STPに見えている。

■メディア・ゲートウェイは、IP電話用アダプターからは相手のIPアダプタに、加入電話からは電話交換機に見えている。


【携帯電話】
■携帯電話を持っていると、常に一番近くの無線基地局と通信している。 そこを移動すると、新たな無線基地局につながる。 

■いまその携帯電話がどこにあるかは、常に無線基地局から有線で携帯電話専用の制御装置と交換機につながっている。 ここからの仕組みは加入回線とほぼ一緒。






※相変わらず理解能力が追いつかないが、電話の仕組みがぼんやりとわかってきた。 文章が判りやすく、私のようなものにも判りやすく書こうという意思が見える。 日経の技術雑誌の副編集長をしている人と知って納得した。 ちなみに大学も会社も同窓のようだ。











2009/03/22

2日で人生が変わる箱の法則 (アービンジャーインステテュート)


 この本は人間関係を良くしていくためにはどうするべきかを説明している。 人間の心の動きをパターン化した分析をしていて、多くの人に当てはまる、あるべき行動パターンを示している。 前作の「自分の小さな箱から脱出する方法」の続編だが、印象としてはこちらの方が判りやすい。 双方とも小説仕立てで読み飽きない工夫がしてあって良い。

■性善説に立って、「こうしてあげるべきだ」という「善」がある。
■何らかの事情で「こうしてあげるべき」ことをしないと、自然に正当化をはじめる。
■「正当化」すると、相手を人として見ずに「物」として見るようになる。
■さらにお互いに自分を正当化するために、より関係を悪くする方向に行動する。
★この状況をこの本では「箱」に入っていると表現する。

■箱には4種類がある;
・優越の箱
・当然の箱
・体裁の箱
・劣等感の箱
 人は場所や、相対する相手によって、この箱を付け替えている。 
 2つ以上の箱を身につけることも珍しくない。

■箱から出る方法
1.箱の兆候を探す (非難、正当化、冷酷さなど)
2.箱の外の場所を見つける (箱の外の人間関係、記憶、行動、場所など)
3.状況を箱の外の観点から考える
役に立つ質問;
- 相手の課題、試練、苦しみは何か。
- 自分はそれをどう増大させているか。
- 自分はどんなやり方でそれを増大させてきたか。
- 自分はどの「箱」に入って真実を見えなくしているか。
- 相手に何をしてあげるべきか。
4.箱の外にとどまるためには・・・自分がするべきことをやり続ける

【総評】内容は教会やお寺で説教されるのに近い印象を持つが、決して自己犠牲を強いている訳でない。 あくまで本来どう対処するべきか、人間は生まれる前から知っていて、それに素直に従うべきというところがポイントだろうか。 だから相手が本当に悪ければそれを直してあげるためにかなりキツイことを言うこともあるのである、もちろん非難感情ではなく。 人間は相手の感情を読み取る能力に秀でているから、非難感情がなければ受け入れてしまえることがある。  
 非常にいいことが書いてあるが、実行するのはなかなか難しい。 実際には一日中自分を裏切ってばかりいるように感じる。 それも気づかぬうちに。 この本でもそのことが書かれている。 「自分がいま箱に入っていないか」と、問いかけてみる気持ち、それが第一歩だろう。
 ちなみに本の中で、中東問題、つまりイスラエルとアラブの歴史的対立ですらこの方法で解決できると示唆している。 そうありたいものだ。


コンピュータはなぜ動くのか 矢沢久雄著 日経BP




 コンピュータとは何か、プログラムとは何か。 知っておくべき基礎知識をまとめたいい本なので、覚えを記す。 矢沢久雄氏が書いたこの本は私のようなズブの素人でも判りやすい。 コンピュータの進化に付き合ってきて、体験で以って本当に判っている人だから書けるのだろうという表現も多い。
コンピュータはなぜ動くのか
■コンピュータの絶対的な基礎
 1.コンピュータは入力、演算、出力を行う装置
 2.プログラムは、命令とデータの集合体

 3.コンピュータの都合は人間の感覚と異なる場合がある

■マイコンの構成要素
 1.CPU
 2.メモリー
 3.I/O (外部装置を接続するInput/Output)
 ※および重要な周辺機器としてはクロックジェネレータ、
  入力スイッチ

■プログラム言語
 1.コンピュータの言葉はマシン語 (2進法)
 2.マシン語を人間に判りやすくしたのがアセンブリ語 (10、16進法)
 3.より人間に判りやすいのがC言語、Java、BASIC
 4.  言語間の翻訳をコンパイル。 翻訳する仕組をコンパイラー。
 ※コンピュータ言語はまさに言語なのだと理解した。 
  未開地の人々と話をするのには通訳を何人も介さねばならぬときがあるが
  それと一緒。
 ※アセンブリ語などは英語そのもの。 コンピュータがアングロサクソン圏で進化した
  からだろう。 またアルファベットは2進法に置き換えるのに向いているように思う。
  漢字では大変。


■フローチャートとアルゴリズム
 コンピュータに何の仕事をさせるかの流れを書くのがフローチャート。 アルゴリズムとは課題の解き方、手順。 故にフローチャートを描くということは、アルゴリズムを書いていることと同義語。
コンピュータは頭が悪いので、フローチャートを描くときは小姑のようにクドク書く必要がある。 
人間では無いのが幸いして、一度行っておけば確実に実行するので、簡潔にしておく必要がある。

■オブジェクト指向プログラム
 開発が大規模になってくると、組織で分業することになるし、すでに世の中に存在しているプログラムを買ってきて部品として組み込むことが必要になる。 これがオブジェクト指向プログラム。 ただし、その管理には経験とセンスが必要で、失敗したり、却って効率が悪くなることもある。 

■データベース
 ハードウェア、プログラムと、このデータベースが広義のコンピュータにとっての3大要素。 
データベースの構成要件は;
 1.データファイル
 2.DBMS (データマベースマネジメントシステム)
 3.アプリケーション
 DBMSはMS Access、Oracleなどが製品として出ている。 アプリケーションはデータファイルを直接読み書きせずにDBMSを仲介して間接的に読み書きする。 DBMSはキー機能、インデックス機能などを利用して簡単にデータ・ファイルを読み書きできるようにし、データを矛盾無く安全に保つ機能を持っている。
 SQLはStructured Query Language。 ISOで策定された標準語で、アプリケーションがDBMSに指示を出すときに使われる。 やはり英語の命令文に似ている。

■TCP/IPネットワーク
 コマンド・プロンプトで出来るネットワークを垣間見る実験。
 1.MACアドレスをipconfig/allで見てみる。
 2.同じ方法でIP Addressを見てみる。
 3.DHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol)の役割をマイネットワークで知る。
 4.ルーターの役割を、route printで知る。 また経路をtracert www.xxx.comで知る。
 5.DNSサーバーの役割を知るために、nslookupを実行させ、プロンプト (>)の後にwwwを入れるとIPアドレスが現れるのを確認する。

■データの暗号化
 文字コードをずらす。

■XML
 Extensible Markup Language。 HTMLはWebページを記述するためのマークアップ言語。 XMLは任意でマークアップ言語を定義できるメタ言語。


★総評: この覚えを作るために改めてこの本を眺めると、10分の1程度しか理解できていないということが良くわかった。 とは言え、まずは興味を持たせてもらえたので有難い本だった。 
いくつかこの本を通して利口になったことを挙げる。
 コンピュータは0と1しか判らない機械でしかない。 その機能は、演算と記憶と出力しか無い。 また推測が出来ないから、人間であれば当たり前のことでも噛み砕いて丁寧に、指示する必要がある。  
 プログラミング言語はつまり外国語の勉強のようなもの。 外国語には不規則な法則がいろいろあるが、それらは必要無いことから案外簡単かも知れない。 反面、論理的でなくてはならない。 
人に依頼や指示をするときに、どう話してやれば判るか、どう簡潔に説明するかを考えることがあるが、それと同じ。
 ネットワークについては、いま読んでいる「電話はなぜつながるか」や「ネットワークはなぜつながるか」により詳しいが、つながる相手同士が「私はxxしました、どうぞ。」「了解しました、どうぞ。」とトランシーバーで話しているのと同じ動作を機械的にしている。

 ところで、2009年の目標として、コンピュータとネットワークの基礎知識を身につけることを掲げた。 いまさらという気もするものの、いくつになっても遅いということは無いので、いま月に3冊ペースで本を読んでいる。 もともとベースが無いので読んでも中身が大して理解できないうえに、最近は目が悪くなって文字を読んでいても集中できず頭に入らない。 もどかしいのだが、欲をかかずにこの一年間は続ける。 もうどっさり本を買い込んでしまったので後に引けないし、会社で後輩達に宣言してしまったので有言実行しないと後で恥ずかしい。

2009/03/16

ヨガの先生の人生訓的ふたこと


 横浜市の外郭団体が主催しているイベントに、外国人を招いて英語で議論するものがある。 以前イラク大使が来たのと同じイベントだ。 昨日はヨガのインストラクターをしているアメリカ青年がやってきて、ヨガ入門と健康について、という題で話と実演をした。 一緒に体を動かし、汗をかいてしまった。 この青年は話も巧く、アクターやアナウンサーもしている活動的な人で、先日も東京ドームで行われたWBCの英語アナウンスをしたそうだ。 話を聞いているときに、書き留めたのが下のふたつ。

※「私は何でも知っている・・、という人にはBe careful。」
※「誰とcompeteするか? 誰ともしないんです。 昨日の自分よりbetterになれたかを問うのです。」

 ヨガをやっている人にはちょっと怪しげな人もいる・・実感として。 と同時にヨガは自分との精神的な戦いだと聞いたことがある。 なるほど、やっている人ならではのコメントだと思った。 
 余談だが、ハーレクイーンロマンスのイメージキャラクターになろうとしているので、皆さんのエネルギーで応援してくれ、と訴えていた。 でも芸名で出るそうなので、本人と判らなければ応援にしようがないのに。 でも、あれこれチャレンジしている、面白い青年で、ちょっと元気を貰った。

2009/03/03

生前分与免税 (不況下の景気対策)

 2008年後半から始まった世界不況は100年に1度と言われるが、日本の景気もひどい状況に陥りつつある。 それに対する私案のひとつとして、先月まで日経新聞の私の履歴書を執筆していた、ある大手コーヒーチェーンの創業者が面白いことを書いていた。
 死後相続でも、生前相続でも税金が掛かる。 いっそ生きているうちの贈与は税金をただにしてはどうか、と言うもの。 少しひがみ根性で言うと、確かにお金持ちが考えそうな案だと言える。 一方、冷静に考えると、かなりの妙案である。 実は中高年の貯金額は数百兆円に上るとされている。 なぜ使わないかというと老後の心配だからだ。 本質的には医療、年金などの不安が解消されないと本当の意味での内需は増えない。 が、高所得者、資産家の悩みはその相続税の高さとも言える。 相続税は、社会一般への富の再分配として必要だと考える。 だから相続税は手をつけなくてもまだいい。 一方で生前分与を無税とすれば、直ぐに消費に回せるお金が世の中に出てくるだろう。 もともと死後に払う予定だった税金が減ることになるが、少なくとも直近の税収は減らない。 一方で数兆円単位の景気刺激が出来てしまう。 勿論、生前分与が長期資産の金(きん)とか土地とかでなく、減価償却するもの、例えば住宅、車等の「購入」に使われるよう税制上の工夫をするのは当然だが。

国際交流会館

 2月に横浜留学生会館の交流イベントに参加した。 中国語と英語の交流会に参加して、それぞれ中国からの留学生、及び世界各国の留学生と2時間程度のおしゃべりを楽しんだ。 
 日本人は白人コンプレックスがあり、アジア人を見下すようなところがあるので、中国や東南アジアから来た留学生は苦労しているのではないか、何か助けて上げられることはないかと思って参加してみたのだが、みな明るく、前向きで立派な若者なのに関心してしまった。 いつも思うが若い留学生は優秀である。 特にこういう公共施設に入れる学生らは国から選抜されて来日し、日本でも名の有る大学に通っている人達が多い。 上海から来た中国の女学生などは日本人より日本語が上手で、しかも午後の英語の交流会にも参加して流暢な英語を話していたのでビックリした。 

 この会館は留学生寮にもなっていて、一ヶ月2万円程度の寮費だそうである。 さすがにこれだけ安いところはなかなか無いので、人気も高い。 だからここに入れない圧倒的多数の学生は、世界不況と円高のせいで生活も厳しい。 そのため学業どころではなく、お金のために悪い道に入ってしまうケースも多いと聞く。 彼らはいづれ母国に帰ってその国をしょって立つ人材に育っていく。 彼らの日本に対するイメージはそのまま日本の将来の国益に跳ね返ってくる。 そう考えると、もっともっと彼らをサポートする政策を国として採っていくべきだろう。 われわれ市民も、出来ることをするべきだし、自治体もそれを後押しできるように留学生の実情を伝え、交流をもっともっと促進するべきだと思う。 

2009/02/22

アルゴリズムって何?


 あるアナログ世代の方にアルゴリズムって何だと聞かれた。 こちらもアナログ世代なので答える資格も無く、いろいろな本で調べてみた。 そのなかで一番フィットしたのは;

「問題を解決する手順」

・・というもの。
 
 例として10と15の最大公約数は何かという命題があるとする。 たぶん5だ、と大抵の人は判る。ではなぜそう判るのか。 勘で判ってしまうように思う。 つきつめて考えると10は、5と2で割れる。 15は5と3で割れる。 であれば5だ・・。 となる。 ではなぜ10を5と2で割るのか。 このままだとアルゴリズムにならない。 
 アルゴリズムにするにはコンピューターにも判るような、くどい説明をしてやる必要がある。 例えば、10を9以下の数字でそれぞれ割って、割り切れる解(整数)が出てきたらそれをリストアップしておき、それとは別に15を同様に14以下の数字で割った整数を出し、それを10について算出した整数とあわせて、同じ数字をピックアップし、さらにそれを比較して一番大きな数字を見つける。 ・・・というように、コンピューターに判る手順を作るのがアルゴリズムである。 
 ちなみい良いアルゴリズムとは、計算手順が少なくて済むもの。 上記の例ならば、10を9以下で全部割るよりも、どうせ2分の1より大きな数字で割っても意味がないのだから、10÷2以下の数字で割るようにすれば計算回数が半分で済む。 それが良いアルゴリズムとなる。
これなら簡単で判りやすい。