2012/10/21

What happened to Japanese electronics giants?

Stock price of Sony, Panasonic


SONYPANASONIC were the world top level electronics brand until 10 years ago. Then today their brand image, market share, stock price and profit are all deep in the bottom and looking up Samsung, LG and Chinese makers who used to be subcontractors for them. The employees in Sony, Panasonic and other major Japanese large makers are always very stoic and work very hard. But still they cannot make it.


Why this happened? Here is my observation as one of ex-employee of Japanese Giants.


BUSINESS MODEL
  • "NOW THEY CANNOT SELL THE PRODUCTS AT THE PRICE THEY WANT"
    Such a simple phrase tells everything.  They always think about customers and market, and trying to create the best products for them.
    Why they do such a hard-work but cannot get return?
  • Sony HQ building, Tokyo
    • "They spend their time to the area customer is not interested.They are always under pressure that they have to fully satisfy their customers. They believe customers always want the best quality, best design, great number of features. They show the excellent craftsmanship to build the excellent products by spending huge resource. Then cost goes up, and their profit never cover up the cost.
    •  "Market needs new value measurement"Yes there are some customers who wants the best quality, best design and best features. But it is not the majority of customer's voice any more.
      What is new value? Here is the good example which they performed by themselves.
      Sony launched Walkman at 1971.  It does not have speaker.  No recording function.  Sound quality was just so so, not comparable to nice audio set in a living room. But it has got great value for young generation.  It was the moment that music went out of home.
    • "Same device everywhere, anyone can make the same"
      From the late 1990s, manufacturing process comes to component block assembly.
      Device is standardized, subcontractors becomes competitors. Competitors make the market price lower, then it makes Sony, Panasonic less competitive.
    • What they need to do?
      They should admit conventional electronic business model almost ended. In order to survive and get out from financial crisis, they cannot help but downsize the operations. They have to limit manufacturing facilities only for extra high value products.
      Then they have to challenge and create totally different market value.
      In such movement, they should not stick to only the high quality, many feature, good design.  Like Transister radio, Walkman, Handycam, Trinitron TV,  they have to believe their creativity is the only way to grow their business.
FINANCING
  •  "DIRECT FINANCING WAS TOO SUCCESSFUL IN THE PAST"
    • Sony is the first Asian company who brought their stock in overseas stock market (in 1970 at NY exchange market).
    • Sony's stock was appreciated in the world, and it makes Sony much easier to finance at competitive rate.
    • When the business goes well, it worked very much, but there is a side effect (fluctuation of market price) which suffers the company more when the business is not going well.
MANAGEMENT ISSUES
  • "SAME AS ALL OTHER HUGE COMPANY BUT .."
    • Too frequent organization change and management change.
      It was Sony's culture from the founder's period. But nowadays, it's too much.
      They changed 7 directors of TV business group in the last 10 years. 
    • Managements are thinking in only monthly bases not even a year as the result of this frequent changes. Middle management also do the same.
    • It makes all staffs unconcerned about top management message (since it changes frequently) and loose loyalty to company.
    • By having many job cut, many 1st class people left from the company, and many of them becomes assets in competitors in Korea, China or other industries.
    • Bureaucratic grows and makes all process slow, conservative.

TO BE A CHALLENGER
    Sony History Museum in Shinagawa, Tokyo
  • Don't be afraid to loose anything. Actually you are already looser. Let's start from nothing.
    Remember your founders also did the same thing.
    No need to repeat what founders did,  but do learn from the spirits and motivations.




















2012/10/08

超高齢社会について

 出身大学のゼミOBで作る勉強会のテーマ。簡単にまとめておく。

  • 人口の7%が高齢者の場合は「高齢化」、15%になると「高齢」、22%で「超高齢」社会と言う。日本は2012年現在で25%に近づきつつあり、すでに超高齢社会。
  • 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、65歳以上の人口がもっとも多くなるのは2042年で38百万人強。全人口に占める比率として最も高くなるのは2051年から6年間に渡る36.7%。2012年現在で35歳の人達が65歳になるときが高齢者がもっとも多くなる。私は84歳になる。高齢者の真っ只中ということになる。
  • 何故高齢化するのか。数学的には寿命が延び、少子化が進むから。寿命が延びるのは医療が発達するからだが、少子化の原因は良く判っていない。女性への教育効果ではないかと言われている。
  • 医療の観点からの議論
    • 老人医療。細菌等による病気から、高齢者独特の生活習慣病、アルツハイマーなど「老化」による疾病構造に変化する。
    • 老人が増えるというのは医療ビジネスが伸びることにつながり、経済効果が見込めるのではないか。
    • 医療はビジネスではない。倫理的な観点がある。
    • 経済学的にも需要供給曲線が必ずしも当てはまらない。医療費が安いと、どっと患者が増えるとは思えない。マクロ的な経済効果を試算すると、飲食業よりも乗数効果は低い。
    • 日本において、シンガポール、タイなどで取り組まれている海外の富裕層を取り込むメディカルビジネスは成り立たない。言葉の問題。受け入れ体制。(現場を知る医学博士の意見)
    • とは言え日本の医療費は、病院のAvailability、アクセス、手術の待ち時間の少なさなど、世界的に見て一級レベル。アメリカなどの医療費はとんでもなく高い。
  • 人口ボーナス(若い人が支える生産年齢人口)を失った日本は労働力が足りなくなる。
  • インドネシアからの介護福祉士が上手くいかないことについて。
    • 国内で看護福祉士をこれ以上増やすのは無理。
    • 言語の問題があり、20歳代の若い人でないと、試験合格率が上がらない。
    • 日本の受け入れ体制が整備されていない。
    • 現地での教育コストを日本がタダ取りすることになる。
    • むしろ看護学校で受け入れを増やすべきではないか。
  • 必要十分な医師、看護師は何人か。
    • どういうサービスを期待されるかによって可変する。現在のサービスを維持するのであれば、圧倒的に足りなくなる。
    • 医師が専門化、細分化されすぎていて、却って効率が悪くなっている。
    • 小児科のように、老人科をつくって一次診療の仕組みを変えたほうがいい。
  • いろいろな意見。
    • 高齢化することはネガティブにとらえられる事が多いが、長く生きることができる、長く働けると考えるといい社会なのではないか。長期雇用体制も必要となる。
    • 超高齢社会は超都市型社会と双子の課題としてとらえるべき。 <以前書いた不動産市場予測でも、人口移動がより進むという報告があった>

2012/09/23

2020年の住宅・不動産市場 船井総研

 いま2012年だから8年後、2020年に不動産市場がどうなっているか。 船井総研がまとめた研究成果を書いた本。

  • 地価動向
    • 例えば秋田県の人口は2030年までに現在の半分以下になると想定されている。地価もそれに伴い、大幅に下がってくると考えられる。
    • 3.11大震災以降の湾岸高層マンションは契約率が落ちると考えられていたが、2012年前半を見る限りは堅調である。これは耐震・耐火性などの性能や、ウォーターフロントが持つ独特のプレステージが評価されているからだろう。
    • 首都圏の不動産はその観点からもまだまだ強い。アジア全体の不動産価格の25%を首都圏が占める。
    • 地価は株式相場と相関関係がある。ピークはともに1990年。
      2010年は最高価格の50%。
    • 不動産業界(建設業、販売業、それに関連する資材産業)は寡占化が進まず、それに携わる企業数は多い。参入障壁が低く、地域分散型であることが背景にある。
    • 国土交通省の「東証住宅価格指数」により過去からのトレンドは正確に読み取れる。
    • 2020年は人口はより減少する。その結果として、関西地区の地価はダウン、中京はキープ、東京・神奈川は上昇。地方は一般的に大幅に減っていく。
  • マンション
    • マンションは全住宅の約10%程度の構成比率。全国で570万戸 (2012年)。
    • リーマンショック後に在庫は一時12,000戸に膨らんだが、2009年末で7,000戸に調整されている。
    • ただし、経済環境を見る限り、供給量は当面加速しない。
    • 新築マンション着工数は2006年末がピークで、20万戸。2009年がボトムで、2011年は7万戸に回復。それでも2006年の半分以下。 <ここでも株式相場と連動している>
  • 中古市場
    • 国別の住宅代替期間。つまり建替サイクルは、日本が30年。仏・独は80年。アメリカ100年。イギリスは140年!
    • 日本の住宅売買に占める中古物件の割合は13%。アメリカは78%。イギリスは90%!
    • 日本には「穢れ(ケガレ)」を疎む精神環境がある。茶碗や箸に代表されるように、自分以外が使ったものの痕跡を物理的に全て消しても、精神的には汚れが残っていると考える。中古住宅を嫌い、新築を好むのが日本の特徴。
    • 最近はリノベーションビジネスが拡大している。マンションなどは古くなっても住民の相当数が建替えに同意しないと実行できない。それであれば、古い戸建やマンションを購入し、それを改修、性能アップしてキャピタルゲインを得る。


読後感:
 一種の情報誌なので、そのデータを見て何を思うかだろう。
 少子高齢化で首都圏と言えども空き家が増え、社会問題化しつつある。首都圏の不動産はまだ上がるというのが本当なのかはにわかに信じがたいものがあるものの、地方の過疎化がより進むことは否定できない。その移動先は首都圏であり、特に東京、神奈川が中心となり、特に新規物件については今後もあまり値が下がらないことは想像できる。ただし中古物件などはどうだろうか。
 これらのデータとは別に、文化論的に面白かったのは、イギリスの中古物件流通量の多さとの対比。住んでいたから実感できる。アメリカもかなり多いのは意外。仏・独が案外中古物件が英米より少ないのも意外。また、日本人の新築好きを「穢れを忌む」性癖に求めるのは面白い分析で、新鮮だった。

追記(2021年3月):
 読み返してみると船井総研のレポートは当たっていたと言うことになる。人口の流動による首都圏の土地・家屋への相対的需要の堅調さ。及び株価の上昇率。さらに経済政策が金融緩和に偏っていることから、低金利で行くところのなくなったお金が、金融市場、不動産市場に流れたという要因も大きい。コロナ禍において、東京都からの人口が僅かに流出する、という珍しい現象があったが、今後もマクロ的には首都圏の価格は安定していくように思われる。

2012/09/16

日本経済の行方に関する3冊

 何の脈絡もなくこの数ヶ月で日本経済に関する本を4冊ほど読んだ。円高、TTP、金融緩和の是非は国民を含めた議論になっているが、複数の評論家がいると、同じ考えだけ、意見違う。当然素人には、どれが正しいのか判断が難しい。参考になった情報や考え方をまとめておく。

片岡剛士著「円のゆくえを問いなおす」ちくま新書

  • すでに15年間デフレが続いている。(2012年現在) 1994 - 2011年で17%もGDPデフレーターが下がっている。名目GDPも20年間不変である。所得が増えていない。デフレは「悪」である。
  • 円高は産業の空洞化を助長するので「悪」である。
  • デフレを転換してインフレにする必要がある。 同時に、円安に誘導しなければならない。
  • いまのようにだらだらとマネーサプライを増やしても、市中に流れていかない。海外投資に回ったり、使われずに貯め込まれている。
  • マネーサプライはFRB, ECBがそうしているように一気にやらないと駄目。短期的な大規模金融緩和が必要。
  • 為替介入に関して、自国通貨を売る場合は、その資金にあたる自国通貨を発行すればいいだけなので成功しやすい。スイスがその成功事例。逆に外貨売りによる自国通貨防衛策は失敗する。東南アジアがその失敗例。
  • 為替レートはマネーサプライ競争にリンクする。即ち金融緩和を一気にすればインフレになり、同時に円高を終焉させられる。

三橋貴明著「それでも日本経済が世界最強という真実」ワック
  • 日本の対外収支。海外資産582兆円、対外負債342兆円。 〆て240兆円の対外純資産 がある。(2011年9月)
  • 日本国債は727兆円(2010年末)
    その所有者構成は銀行39%、生保20%、基金15%で、海外投資家の所有は僅か4.8%。
  • 政府予算の資産は471兆円、負債は1,049兆円。純資産は大きくマイナス。ただし、471兆円の資産はアメリカ合衆国の倍以上の規模。
  • 一方日本の国のバランスシートで見ると、資産5,615兆円、負債5,366兆円。純資産が249兆円(4.4%)。
  • アメリカ政府の負債は1980年を100とすると2008年は1,400。日本は800。
  • そもそも政府に負債はあって当たり前。通常は経済成長をさせ、インフレによって棒引きにする。財政破綻など気にする必要はない。
  • 企業も家計も多くの資産を持つが、市中マネーストックが増えない。そうなると国が国債発行して増やすしかない。
  • 日本国家は、海外に依存せず国内資産によって成り立っている。だからギリシャのように破綻することは有り得ない。少子化で日本人が最後の一人になっても、莫大な資産と、莫大な負債を相殺して、それで終わり。純資産は残っているはずなので、その最後の一人はアメリカにでも移住して優雅な生活を送れるだろう。
  • 日本政府の支出は切り詰めている。この20年間横ばいが続く。
  • 銀行の不良債権はアメリカは2.7兆ドル、EUが1.2兆ドル。日本は0.15兆ドル。圧倒的に日本は健全。
  • 通貨高で破綻した国はない。デフレと円高は表裏一体。
  • 日本の輸出依存度はGDP比13%。この円高でも輸出があるのは資本財輸出の国だから。消費財輸出の国家とちがって、強い。
  • 日本が対外純資産を持つので経常収支は常にプラスとなる。このため円を買う必要があるので円高が続く。対外純資産は20年前から世界一。
  • GDP辺りのエネルギー供給量は日本を1とすると、EUは1.7、アメリカは2、韓国は3.2、中国は8.7、インドは9、ロシアは18。
  • GDPではなくて、純粋な国富を示す指標としてGNIがある。国民総所得と呼ばれる。これは日本資本が海外で稼いだ金をGDPに足し、海外資本が日本で稼いだ金を減額したもの。内閣府「国民経済計算」によるとGNI資産8,000兆円、負債5,200兆円。国富は2,712兆円もある。内対外純資産は266兆円、非金融純資産は244兆円。

岩本沙弓著「最後のバブルがやってくる、それでも日本が生き残る理由」集英社
  • 国債の95%を自国民が保有する日本において、デフォルトは有り得ない。国債を海外に頼 っているギリシャとはここが決定的に違う。
  • 日本は輸出大国ではない。依存度は10%程度。(総務省統計局)
  • 震災後の今日、円高はメリットの方が大きい。石油が安く手に入る。
  • 製造業の空洞化の危機が叫ばれているが、すでに空洞化している。
  • 円高と、グローバリゼーションによる国内空洞化は切り離して考えるべき。付加価値のない製造が国外に出て行くのは古今東西の常識。
  • アメリカの財政赤字が膨らむと、昔から30-50%のドル安(円高)になる。つまりアメリカは借金を棒引きにすべく意図的にドル安に誘導している。これは基軸通貨のドルを持っていることでなせる業。
  • 日本は世界最大の債権国であり、251兆円の対外純資産を持つ。(財務省、日本銀行)
  • 国債暴落をヘッジファンドが仕掛けることはない。国債額は700兆円。リーマンで資金余裕を失ったヘッジファンドが太刀打ちできる額ではない。
  • 万が一国債が暴落しても、金利がいまの0%から2-3%になる程度。国民には金利が上がってプラスだろう。一時的に円高になるが、それもまたバランスしていく。
  • 金融緩和しても民間にはまわらず、海外に出て行くだけで意味がない。企業が収益を上げても貯め込んでしまい、給与に回っていない。 
  • 2009年比で、2012年1月現在 ECB 1.2 => 2.0、FRB 0.7 => 2.7と大量に金融緩和しているが、日本は1.2 => 1.4。日本はそれ以前にバブル後遺症治療のために大量供給していた。
  • 今後の見通し。
    • 2012年9月以降 円安になる可能性が高い。 ただしそれは2016年頃まで。
    • 2012年-2014年の間は金融株が、2014年-2016年までは全体の株価が上がり、24,000円程度がターゲットとなる。 2016年がピークで、30,000円以上には上がらない。
    • 金は上昇を続ける。 2022年頃までは最高一オンス3,000ドルだろう。


読後感:
 いづれも売り出し中の若手評論家。円高に対する見方は大きく分かれ、また金融緩和に対する考え方も様々。 円高に関しては円安誘導して欲しいと思っていたのだが、岩本氏の見解は大変興味深かった。 「日本政府がドル買い介入するのは、暗にアメリカ政府の財務状況を助けるためにやっているのではないか、米国債を買うことを正当化しようとしているのではないか」という疑念を投げかけている。
 金融緩和するにしても、思惑通りに市中に回らせることが難しいという点は一致している。 個人的には、自民党政権末期に大量発行していて、それでもインフレにならないのだから、あまり効果は期待できないと考えている。
 三橋氏の本はデータが多く、非常に参考になった。 論調は、「何でも日本は凄い、心配要らない」というトーン。 経済というのは生き物で、国民の気分次第。 少し安心しただけで財布の紐が緩み、経済成長する。 もしかするとそれを狙ったのかも知れない。

 3者の意見が共通するのは国家財政を気にする必要はない、と言う点。自分でお金を刷って、自分で使って成り立っている自作農国家であり、かつ外に貸している土地がたくさんあるから問題ない、ということだろう。では、何で消費税を上げるのだろう、社会保障はどうなるのだろう、その辺りまで切り込んで欲しかった。 ちなみに、適当に選んで買った本である。 財務省側の立場で書かれた本も必ずあるはずで、おそらく「そうは言っても、財政不健全であることは確かで、今後の成長をあてにせずとも自立できる運営を目指すべき」という論調に違いない。 

2012/07/21

ドイツの底力

ドイツ経済が調子いい。 為替に寄るところはもちろん大きい。 2008年8月と2012年1月を比較するとユーロは10%以上も下落している。 一方、日本円は25%に迫る上昇率。 あわせると35%違えば、勢いも違う。 ただ、ユーロ安の恩恵を得ているはずの欧州各国はドイツを除いて景気が悪い。 いま行き場を失ったユーロは好調の続くドイツに流れ込んでいる。

 あるドイツメーカーの本社重役の方は、ドイツの強さの秘密は全体の90%以上を占める中小企業(ファミリーカンパニー)だとしている。ダイムラー、BMW、シーメンスなどの世界企業は大きな影響を持つものの、ドイツ全土にいきわたる中小企業が誇りを持って、特徴とする「長期的な」視野で人を育て、技術を生む姿勢だ、と話されていた。

 日本も中小企業が多い国のひとつであり、国際競争力の源泉だ。 とはいえ、定量的なデータはないが、ドイツの中小企業のように自らの技術を開拓し、販路を創り上げて、国際的な経営を目指すというよりは、大企業の下請けが多いように感じる。 言ってみれば、雇用市場における「派遣社員」的な位置づけなのではないだろうか。

 2000年前後まで、ドイツは景気が非常に悪かった。 東ドイツ併合から端を発した財政、社会問題が一気に噴出した時期。 それを克服してさらに成長を続けるドイツは、シンボルの黒鷲がどんなもんだと胸を張って見える。

2012/06/09

大トラブル時の最初にすべきことは・・



 ビジネスには想定外のトラブルが続出して当たり前だが、2011年の震災直後に経験したような大トラブルも何年に一度は起こる。さまざまな大きな判断をしないといけない。それも迅速に。

 ただし、判断しなければならないとプレッシャーに押されて拙速な判断をしてはいけない。判断をした、まだ考えてもみない次の問題が起こった。またあわてて判断して、余計悪い方向へ物事が進んでいくことは避けなければならない。

 間違った判断をするくらいなら、一歩踏みとどまって、その判断をした場合のプラス・マイナスをシミュレーションするべき。特に周りを巻き込んで、最悪の事態や解決方法のアイデアを出し尽くす。 その上で、いくつかのシナリオを準備してから、その後で判断するべき。 つまり、大事件が起こった後に最初にすべきことは何かのアクションの判断ではなく、シミュレーションをし尽くすこと。

「最悪の事態を想定し、その対処方法を複数用意し、その上で最初のアクションをとる。」

金融市場はコンピューターが動かしている?


 いまの金融市場はすでに人がディーリングすることは少なくなってきていてコンピューターが売り買いをしているそうである。 全体の約7割はコンピューターが過去のデータを元にどこでどのくらいを売るか、買うかを判断して一瞬の内に売買成立させているとのこと。

 ウォール街のある小規模ヘッジファンドでは朝出社してコンピューター画面を見る。昨夜から数十万ドル稼いでいるのをみて、「うん、今日は調子がいい。」と社員がほくそ笑む。これは想像ではなくて、実際の場面の一こま。
 2010年にこれらコンピューターが暴走して大きな株価変動が起きた。突然あるコンピューターがある会社の株に対して、とんでもなく安い「買い」を入れた。その瞬間、別なコンピューターが「売り」を入れた。それをきっかけに、あっという間に大量の売りと買いが入り、一気に株価が暴落した。直前の10分の1にまで下がったのである。その間、なんと僅か4秒である。

 実はそれ以降、コンピューターの暴走はあらゆる局面で起きている。株にしても、為替にしても、われわれの社会はすでに自分自身でコントロールできないものに身を預けている。以前ワンクリックで売買をする「株主」が本当にわれわれが働く会社の「所有者」と言えるのか疑問を呈した。いまはワンクリックどころではない。企業活動の資金調達は本当にいまのままの市場に頼っていいのだろうか。

財のなりたち・・・2

 猿にバナナを持たせる。もう一つ好物のリンゴを見せて、交換させようとしても、両方欲しがるそうである。物を「交換する」という概念は人間だけにしかないのだそうだ。
 人類の最初の「お金」は穀物、塩、家畜だった。それを交換して、豊かさが広がっていく。そこに現れたのが本物のお金、「コイン」だった。これは革命的な発明で、それ以前の物々交換との圧倒的な違いは「貯蓄できる」ことである。腐らない、だから貯めることができる。それによっていつでも使えるし、飢饉の際に備えることができる。
 最初のコインは紀元前600年にギリシャで生まれたそうである。何と口の中に入れて運んだそうな。 「お金」が流通する前の社会は共産的な社会だったはずだ。貯めるものがないから、一人だけが突出することがない。マンモスを捕獲して食べるにしても一人では食いきれない。みんなで分けるのが当たり前。つまりお金の出現が個人主義を育成し、それが競争を生んで今日の繁栄をもたらした。
 ところで紀元前100年のシーザーの時代のコインは銀で作られており、純度は98%だったそうである。それが紀元270年頃のコインの純度は2%に落ちているものの、それで買うことが出来たものはほぼ同じだったという研究成果があるそうだ。コイン自体の価値に頼って交換が行われていた時代から、国がその価値を保証する時代に移っていった。

「財」の成り立ち・・1

 所有の概念というのは、農耕の開始と同時期だそうである。
狩猟民の場合は「共産」であり、誰かが獲物を取り、それをみんなで分ける。もらった肉を分けてもらって当たり前、そこに感謝の言葉をかける必要はない。お互い様だから。パプアニューギニアなど原始的な生活をいまでも続けている住民の慣習としてまだ残っている。
 農耕が開始されると大切になるのが植物が育つ土地である。そこから食料が生まれ、「所有」の概念が出来てくる。これは財産として認識されて、村同士、個人同士の戦いが生まれてくる。古代遺跡の発掘をするなかで、戦いが大規模化する時期と、農耕が開始された時期ははっきりと一致するそうである。
 同時に戦いが多くなると、リスクが増える。そのリスクマネジメントとして中和が必要になってくる。これが村同士、あるいは村の中でのご馳走を振舞うイベント、つまり親睦を図る必要性が生まれてくる。これが祭りとなり、儀式や宗教につながっていくのだ。

2012/06/02

イノベーションのジレンマ クレイトン・クリステンセン著

10年以上前の発行なのだが最近読んで面白かったので記録しておく。
私の解釈と思いいれも入っているので、この理論を正確には反映していないかも知れないが。イノベーションのジレンマという言葉はビジネスのキーワードとも言える、それがこの本から来ていることは意外にしられていない。


  1. 優良企業、大企業は顧客のニーズに応えるべく製品の性能を上げていく。これを持続的イノベーションと呼ぶ。
  2. 持続的イノベーションはある一定の期間で顧客のニーズを超えてしまう。それでも優良企業はさらなる改善を推し進め、性能を上げていく。 ニーズと、製品の性能の差は付加価値を生まず、コストとして認識されていく。
  3. 一方で従来の製品の延長上にはない、潜在的なニーズに着目して全く新しい価値を生み出すのが破壊的イノベーション。
  4. 優良企業、大企業は 破壊的イノベーション のニーズが当初非常に小さいため、自らが求める収益上の魅力を見出すことはなく、無視する
  5. 破壊的イノベーションの性能が進み、新たなニーズが市場で広く認められた結果、優良企業の提供してきた従来型の製品価値は一気になくなってしまう。

 ポイントは、破壊的なイノベーションの傾向として、既存の製品よりも性能が劣る、当初のニーズが少ない、でも価格が安い、などの傾向がある。 例えばオーディオステレオ全盛の頃に出てきたソニーのウォークマン。さらにはCD/MD携帯ステレオ全盛の時代に出てきたMP3プレーヤー。 いずれも音質的には大きく劣るにもかかわらず、新たなライフスタイルとして認識されるとともに、価格の安さから若者層に浸透して新たなマーケットを創出した。

 ところで、この本の帯に当時ソニー会長兼CEO 出井伸之氏が推薦の言葉を載せている。 2011年度に数千億円の赤字を出していまや株価1000円を切ろうという企業の元最高責任者が推薦することに時代の皮肉を感じざるを得なかった。
(2012年6月時点)



2012/03/31

日本の家計簿2012

新聞の記事をヒントにして、2012年の日本の家計簿を作ってみた。 実際には、ここに書いた金額の1,000万倍にすると、実際の額に近くなる。 が、給与を420万円とすることで、自分に置き換えてイメージしやすくなる。

実際に自分の家計簿がこんな具合だったら卒倒するだろう。 何しろ給与とほぼ同額を借りてきている。 子供や親戚から借りている訳だが、よく貸してくれるものだ。 証文を乱発しているからなせる業。 お金持ちだと思われてしまっているから通用している。 ところが実際は借金が7000万円ある。 給料の17倍である。 
31歳のときにローンを組んでマイホームを買ったが、確か35年ローンだったと記憶する。 借金額は年収の6-7倍だったろうか。 それでも返却に大変な重圧を感じたものだった。

支出も問題。 ローンの返済(実際は金利分を払っているだけ)と、通院費や親の介護で併せて480万円だから、給料を上回ってしまう。 自分自身の生活費は250万円のみ。 仕送りもしないといけない。 気が遠くなるとはこのことだろう。

さらにまずいのは、一家の大黒柱は20代30代の、これから収入も増える世代ではないことである。50代60代で、今後収入は減る上に、自分自身の介護費用も考えないといけない。 悪くなるばかり。

実際の家計と唯一違うのは、この一家の大黒柱は死なないということである。 収入は減るが、なくなることはない。 ただ先細りなのは明らかなので、通常の神経であれば、収入を増やす道を考えるとともに、支出を切り詰めようと思うだろう。 

この現実を直視しないと、大変なことになる。


収入の部 万円 支出の部 万円
給与 420 生活費 250
借金他 310 医療・介護費 480
730 730




ローン残高 7000

2012/03/11

人脈はジグゾーパズルの一片

数年前に会社の大先輩からこう言われたことがある。 
「人脈というのはいつ使うか判らないけれどポケットにしまっておくのですよ。 使うときが来たら、それをポケットから出せばいい。」

英語ではlast piece of jigzoという言葉がある。 最後の仕上げに必須のもの・・、即ち人や技術、部品に例える。 以前イギリスの職場で、新しい役員を迎え入れるときの社長のメッセージで使っていたことを思い出す。

そこから転じて、「人脈はジグゾーパズルのone piece。 いつもポケットに入れておいて、必要なときに出す。 ひょっとすると、その一枚が、last piece of jigzoになるかも知れないからね・・・。」

2012/02/24

長くビジネスを続けるために

大手化学メーカー、エレクトロニクスメーカーの経営者として著名な方に話を伺う機会があった。
印象に残ったこと。

1. 長くそのビジネスが続くことを考える
2. 一社購買はしない(競合先も必要)
3. 7:3で近郊させて価格維持する

 事業部長時代にある技術者が独占的な特許を取れる開発品を持ってきた。 さっそくそれを競合先2社ほどへライセンスしたそうだ。 独り占めできる技術なのに何故と訝る技術者に説明したのがこの3つ。 短期的な圧倒的ポジションだけを考えてはいけないこと。 顧客側も一社独占の技術を長く使うことは危険だと判っているので、かならず競合先に類似品を作らせるか、その技術を使わなくていい方法を考える。 さらにマーケットシェアは自分が7割、他社が3割位を持っているのが一番競合が少なく、価格が安定する。 つまり不要な競合により値崩れするのを防ぐ。

 敢えて敵に塩を送る。
長期的な自分の利益、ひいては相手の利益になるから。

あまりシェアを取り過ぎるのは却って危険だよ、ということである。