2012/10/08

超高齢社会について

 出身大学のゼミOBで作る勉強会のテーマ。簡単にまとめておく。

  • 人口の7%が高齢者の場合は「高齢化」、15%になると「高齢」、22%で「超高齢」社会と言う。日本は2012年現在で25%に近づきつつあり、すでに超高齢社会。
  • 国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、65歳以上の人口がもっとも多くなるのは2042年で38百万人強。全人口に占める比率として最も高くなるのは2051年から6年間に渡る36.7%。2012年現在で35歳の人達が65歳になるときが高齢者がもっとも多くなる。私は84歳になる。高齢者の真っ只中ということになる。
  • 何故高齢化するのか。数学的には寿命が延び、少子化が進むから。寿命が延びるのは医療が発達するからだが、少子化の原因は良く判っていない。女性への教育効果ではないかと言われている。
  • 医療の観点からの議論
    • 老人医療。細菌等による病気から、高齢者独特の生活習慣病、アルツハイマーなど「老化」による疾病構造に変化する。
    • 老人が増えるというのは医療ビジネスが伸びることにつながり、経済効果が見込めるのではないか。
    • 医療はビジネスではない。倫理的な観点がある。
    • 経済学的にも需要供給曲線が必ずしも当てはまらない。医療費が安いと、どっと患者が増えるとは思えない。マクロ的な経済効果を試算すると、飲食業よりも乗数効果は低い。
    • 日本において、シンガポール、タイなどで取り組まれている海外の富裕層を取り込むメディカルビジネスは成り立たない。言葉の問題。受け入れ体制。(現場を知る医学博士の意見)
    • とは言え日本の医療費は、病院のAvailability、アクセス、手術の待ち時間の少なさなど、世界的に見て一級レベル。アメリカなどの医療費はとんでもなく高い。
  • 人口ボーナス(若い人が支える生産年齢人口)を失った日本は労働力が足りなくなる。
  • インドネシアからの介護福祉士が上手くいかないことについて。
    • 国内で看護福祉士をこれ以上増やすのは無理。
    • 言語の問題があり、20歳代の若い人でないと、試験合格率が上がらない。
    • 日本の受け入れ体制が整備されていない。
    • 現地での教育コストを日本がタダ取りすることになる。
    • むしろ看護学校で受け入れを増やすべきではないか。
  • 必要十分な医師、看護師は何人か。
    • どういうサービスを期待されるかによって可変する。現在のサービスを維持するのであれば、圧倒的に足りなくなる。
    • 医師が専門化、細分化されすぎていて、却って効率が悪くなっている。
    • 小児科のように、老人科をつくって一次診療の仕組みを変えたほうがいい。
  • いろいろな意見。
    • 高齢化することはネガティブにとらえられる事が多いが、長く生きることができる、長く働けると考えるといい社会なのではないか。長期雇用体制も必要となる。
    • 超高齢社会は超都市型社会と双子の課題としてとらえるべき。 <以前書いた不動産市場予測でも、人口移動がより進むという報告があった>