2013/01/06

Product Lifecycleの山の裾野

 ある日本でも有数のファンドマネージャーで、いまはベンチャーキャピタルをしている方と話していていろいろ刺激を受けた。 その中でも面白いと思ったのは、以下のこと。

  • 投資家向けの数多くの大企業、ベンチャー企業の経営者の話を聞いてきた。
  • ビジネスには成長、成熟、衰退があり、それは避けることはできない。
  • しかしそのビジネス・ライフサイクルの形は綺麗に左右対称(シンメトリー)であることを経験的に知った。
 ---これは非常に面白い発見だと思う。 

 通常企業はいくつかのビジネスを並列で走らせている。そしてそのビジネスの担当責任者は自分のビジネスがいま成長期か、成熟か、衰退かは実は分かっている。お家の事情で、衰退期になっているのに、「成長する」と言い張ることもあろうし、その逆もあろう。
 たとえば衰退期になっても、その先どうなるかが怖くて認めようとしないこともあるだろうし、組織防衛のためにやむを得ず衰退期になっていることを悟られないように行動する人もいるだろう。気持ちはよく分かる。 しかし、衰退から消滅にどれくらい時間がかかるをある程度事前に分かれば、その間に何をすべきか考えることで道は開けるともいえる。
 妙な例えだが豪華客船タイタニック号が氷山に衝突して沈没した事件でも、いつ沈むのかが分かっていればさまざまな対策が取れただろう。

 あるいは成長期が続いていて、段々とピークが見えつつあるときは、ビジネスの揺籃期からなぞってみて、いまのこのビジネスがどのくらいの期間続くのかが想定できる。 成長が続き、キャッシュフローが良くて資金余裕があるときには次の投資もやりやすい。 次の成長ビジネスを作るために、いまが絶好のチャンスかも知れない。

 いづれにしても経営戦略を考えるうえで大切なセオリーになるかもしれない。

被災地で・・


 2012年の2月、3月、12月にそれぞれ南三陸、陸前高田、南相馬にボランティアに行った。経験が無かった私にとって「ツアー」に参加するのは邪道なのではないかと思っていたが、実際には正解だった。個人がボランティアで作業をするのは余程の覚悟を持っていくか、専門技術を持ったプロでない限り却って迷惑になる。チャーターバスによる交通手段も確保できるという意味ではツアーがいい。JTBなどの大手が、大して商売にはならないだろうこれらツアーを企画しているのは良いことだ。
いくつか印象に残ったことと、学んだことを覚えに書いておく。
  • その現場をナマで見ること 
     現地を見ないと津波が来た高さ、被害の甚大さ、原発による放射能の恐ろしさ、住民の戻りたいが戻れないという葛藤がなかなか分からない。鉄筋だけになった防災センターの跡が、やけに高く感じる。あそこまで津波が来るものなのかと思うと足がすくむ。ほぼ全壊の病院の屋上に取り残された自動車と漁船・・。
  • まず自分を救うこと 
     地震、津波が起きて亡くなる方には、家族を心配して探しに行ったことが仇になることが多いそうである。その家族は実は避難して助かっているのに・・。
    「災害の時は、まず自分の身を守ってください。家族はきっと逃げているはずだ、そう自分に言い聞かせてください。」被災者のご婦人がそう語っていたのが記憶に残る。
  • 自然発生的な団体行動  ボランティアに参加する人は老若男女、あらゆる職業の人、学生らである。見るからに体つきのいい人、逆にお箸より重いものは持てそうにない人等々。
     センターで作業場所と作業内容が決まり、現場のリーダーが簡単な指示を与える。
     最初は不慣れな参加者が、だんだんと作業の方法を自分たちで考え始め、持ち場を見つけていく。リーダーが細かく一人一人に指示を出している訳ではない。それでも自分に合った仕事を探してもくもくと汗をかく。ガレキを運び出すときも、自然にバケツリレーの列ができる。一日の作業が終わるころには、お互いの名前も知らない参加者全員がある種の一体感を持っている。これには感動した。日本人には、いや人間にはこうやって一緒に仕事をする能力が自然に備わっているのだ。


 まだまだ現地は復興の手が足りていない。いくらやっても、なかなか先に進まない。あまりに被害が甚大だからである。あと何年かかるのか。