2011/02/26

外資を呼び込め - イギリスに学ぶ懐の広さ

最近欧米はおろか中国、台湾、韓国からも日本の有名企業が買収され、メディアの論評などは少し感情的だ。

もう20年近く前だと記憶するが、富士通の会長が書いていた記事を思い出す。 当時日本はバブル期ということもあり自信満々。 同社はイギリスに本社を持つICLというコンピューターシステム会社を買収した。 イギリスの主だった都市にはオフィスを持ち、欧州大陸にも広くビジネスのネットワークを張っている企業。 買収直後にICLの労組幹部が揃って来日し、富士通の会長に面会を求めたそうだ。 すは労働争議かと同会長は少々慌てたそうである。 当時の私も含めてイギリスと言えば公害と労働争議という古い固定観念がある世代である。 その気持ちは良くわかる。 
ところが労組幹部は会長を前にして「われわれは富士通の投資を歓迎する。」と伝えて帰っていった。 会長はアメリカと比して「イギリスというのはなんと懐の広い国だろう。」と感動したそうである。 ちなみに引き合いに出されたアメリカは当時、自動車メーカーの調子が悪く、日系企業に工場を売り渡すことに反対運動が起こるなど、国全体が感情的になっていた時期である。

 イギリスの自動車で有名なのは、なんと言ってもエグゼクティブの証であるロールスロイス、ベントレー、ジャガー。 大衆車でもローバーやミニは人気が高い。 実はこれらのメーカーにイギリス資本であるところは残っていない。 でも工場は残り、経営にも多くのイギリス人が参画している。
車に関してはイギリスには面白い例え話がある。 「ドイツ人がエンジンを作り、イタリア人が車体をデザインし、フランス人が内装を整え、イギリス人が乗る。」というのだ。 

イギリスは保守党サッチャー政権時の規制排除と外資導入政策。さらにそれを継承した労働党ブレア政権と、経済が高水準で推移した。 元気の無かった「老大国」が、歴史と自由を誇る魅力ある中型国家に変貌した訳である。

結局、実を採ればいいのである。 資本が海外から来る。 でも肝心なことは、雇用が日本に残ればいい。 海外の経営方法は日本の従業員と軋轢があるかも知れない。 ただそれは文化の触れ合いであって、長い目で見れば互いに影響をしあって、最後は自分たちのやり方をより強いものに変えてくれる。

政治の責任は重い。 日系企業を買収したうえで、解体して利ザヤを稼ぐようなハゲタカファンドを許してはならない。 日本のノウハウだけを吸い上げたあとは、従業員を解雇して放り出す経営を許してはならない。 一方で海外企業から魅力ある投資先であり続けなければならない。
経営者の責任も重い。 国が制度を整えるには時間がかかる。 海外からの投資や買収に際して、どう長期的に雇用とノウハウを日本に残すか、契約交渉に全精力を傾けなければならない。 自分だけ多額のボーナスを貰って、後のことは省みずサインすることがあってはならない。

外資と上手く付き合うことで、日本はもっと豊かになれる。 短気な感情論で拒絶するのは、将来の豊かさを放棄するようなものだろう。

決断するときの心得


ある企業の役員の方が言われていた、決断するときの心得。 
参考になったので、覚えとして書いておく。 


  1. 決めたあとは、その後変えない。 
  2. 理由があれば変えてもいいが、変えた理由の説明をし、かつ責任を取る。
  3. 一瞬で決められればいいものの、心にもやもやがあるのであれば 無理にその場で決めない。 迷いがあればそれは人に伝播してしまう。 短くて5秒、長くて2日。 ぐっと我慢する。


ついでに人に言いにくい指示(いわゆる叱責や小言)をするときの心得。

  • その人のこと、その人のためを純粋に思い無心でアドバイスをする。


なかなか常にできることではないものの、それゆえの心得。