2010/11/07

雑談のルール 松橋良紀氏


筆者は営業経験が長くセールスマンとして実績のある方らしく、経験談から語っているので説得力がある。 その「秘伝」を100も挙げているのだが、さすがに100も覚えきれない。 せいぜい5つ、理想的には3つ程度覚えられれば上出来の私の記憶力なので、20倍濃縮にして書いておく。 冒頭の3つが私にとっては最重要。

 壁の花という言葉を思い出すが、営業分野に長い割には、雑談が苦手である。 目上の人をつかまえて、アレコレ長く立ち話をしている人を見ると、いったいどういう話題があるのか不思議でしかたない。 初対面のお客さんと話をしてもオフィシャルトークが一段落すると、はて何を話し始めたものかと、沈黙を恐れるあまり余計な話を始めてしまい、話している途中でこれをどう着地させたものかと、パニックになっていることもある。 ということで読んでみた。

大前提として、雑談とは何か、どの位大切かを理解するべし、と語られている。 ビジネスとは人と人のつながりの中から生まれてくるもので、そのためにはお互いを知り合う必要がある。 たかが雑談と侮れないのは、雑談によってお互いの人間性の理解が深まるから。 実際のところ、この筆者の経験では、契約を取った後のキャンセル率は、雑談の長さと反比例するそうである。 最近、生きていく楽しさと言うのは、自分と違う経験を持った人と、どれだけ数多く知り合うことができ、学ぶことが出来るかではないかと思うことがある。 雑談はその重要な入り口ということだ。


  1. 沈黙の恐怖を克服するには、相手に集中すること
    恐怖感を感じるのは、その間に自分がどう思われているかに意識が集中してしまうから。 
  2. 相手の口をなめらかにするには、苦労話、自慢話、感動話
    社会的に成功した人は特に苦労話が好きらしい。またそこから成功哲学を聞けるチャンスでもある。
  3. 言葉の最後を質問で終わらせると会話が途切れない
    ろうろうと発言した後でしんとなってしまい、言いっ放しの恐怖を感じることがある。 つい知識をひけらかしてしまったかと反省してしまうのだが、「・・と思うけど、どう?」とか、「・・って経験ない?」という終わり方がいい。
  4. 相手の話の後で、「どうしたいの?」「どんな?」「なんで?」でオープンクエスチョンにすると広がる
  5. 聞きにくいことを聞くときは「・・・ではないですよね?」
  6. 名刺交換をしたらじっくり裏表を見て質問する
    ろくに見ずにしまうのは礼儀違反ということもあるが、名刺に書かれた情報を話題に利用することも出来るし、何より相手に関心を持っていることを伝えることが出来る。
  7. 視線は斜め下、うなずきは相手に同期
    心理学的な実験だそうである。 考えるときは視線を下にする、相槌は同じペースですると、相手に心理的な圧迫をあたえない。
  8. 木戸に立ち掛けし衣食住で話題探し
    気候、道楽(趣味、テレビ、映画、スポーツ)、ニュース、旅、知人、家族、健康、仕事、ファッション、グルメ、家(住まい、出身地)
  9. 人脈の作り方
    質より量。 一回じっくり話すのと、数回ちょこっと会ったのでは、後者の方がつながりが多い。 30分一回よりも、10分3回の方が効果が大きい。

家内にあなたは人の話を聞いていないと言われる。 確かに聞きながらも、次の話題を準備したり、聞いた言葉から別なことを連想し始めたりすることが良くあり、悟られると不誠実にとられてしまいがち。 相手に集中していないということだろう。 その意味をこめて順番を決めた。 

2010/11/06

プロセスを見せてあげる

大学のOB会に参加した。 先生は80を越えてまだしっかりされており、「君の原点はどこにあるのか?」、「それは世のための役に立っているのか?」などと、大企業の役員をしているような先輩方ですら、グッとつまるような質問をするどく投げかけられていた。
人は生きていくのが義務。 人が生きると書いて人生。 言葉は力。 それを発信して社会を動かすことができる。 足は前に歩くためについている。 などなど。

この会で、ある資格をお持ちで、それによって27歳で独立され、今日に至っている先輩の話を伺い、関心したことがあったので覚えに書き込んでおく。 若くして独立され、資格があると言っても決まった顧客がいるわけではないのに、最終的には大企業や霞ヶ関から仕事がくるようになり成功を収められている。 何がきっかけで順調になったのですか、の問いかけに「自分の仕事の進め方、プロセスをすべて開示し、お客様と一緒に考えて、最終的にお客様に判断してもらうようにした。」というお答えであった。

これは実に学ぶべきことだと思う。 何かを請け負う。 当然条件はあらかじめ決めて契約するものだが、出来上がって引き渡してそれで終わり。 瑕疵がなければそれで、ビジネスとしては完結している。 ただ、顧客から見るとその間はブラックボックスになっているので、最後になるまで結果が判らない。 同時に請負側にどういう苦労があるかも判らない。 ひょっとしたらその間に、顧客にとって大きなリスクが発生していたかも知れず、あるいはもっと良い結果が得られる可能性をみすみす失っているかも知れない。 
契約後、自分が何をしようとしているか。 それによってどんなことが起こりえるのか。 それをすべて開示することは請負側からすると勇気の要ることであると同時に、顧客から余計な指図が入るリスクでもある。 そこを敢えて、オープンにする、それによって信頼を勝ち得る。 こう書くと基本的のように思えるが、それを実際にできている会社は殆どないのではないか。