2014/12/28

ロジカル・シンキングの道具箱 山崎将志

 ビジネスの世界、特に組織を動かす、説得する際に大変役立つ「論理力」の整理。
商売はセンスによる部分が大きいものの、センスだけだと人を説得して大きな組織を動かすのは難しい。この「ロジカル・シンキングの道具箱」は論理性を見につけるためのいくつかの道具を提示している。
  • 論理力の基本は演繹法と帰納法。演繹法は三段論法。
  • もれなく、ダブり無く論理構築を完成するにはMECE。
    ①二項対立(男性・女性、メリット・デメリット)
    ②因数分解(売上=利用数x利用頻度x単価)
    ③プロセスでわける(営業プロセス=訪問→商談→見積→受注)
    ④一般的なフレームワークで分ける(5W2H, 3C, 4P)
  • フレームワークを先に想定して作り、その中を埋める。
    →ヒアリング、カウンセリングをする際にはこの手法は効率的
  • 情報を取るときは、
    ①論点と数字をメモる
    ②トップダウンの構造を探してミッシングポイントを整理
  • 発想法-着眼点と表現のマトリックスとして、組み合わせで発想する。 
    (性格、身体、趣味、行動、職業 x 綺麗、大きい、面白い、派手)
  • 人はポイントを7つしかつかめない。普通の人は2-3つ。
    (一分で話したいことを整理して話す訓練をしてみる。)
  • 判断プロセスをフローチャートにして考えてみる。

妬まずにはいられない症候群 加藤諦三

 著者は東大を出て、ハーバード大学に留学、現在早稲田大学名誉教授。社会的名声を得た方であるにもかかわらず、文章の中に自分自身との戦いとして深い嫉妬に言及している。人類は嫉妬というものから逃れることは出来ず、またそれが大きな力になることも少なくない。一方でその嫉妬によって失う社会的な効率性や、嫉妬による自責にさいなまれるという精神衛生上の問題も大きい。この本は、嫉妬がなぜ起きるか、その心理的なメカニズムを判りやすく語りかける。著者と自分が同じことを感じ、考えることを確認することで、多くの人も自分と同じなのだと納得し、心が軽くなる。

  • 自己蔑視の心理的結果の特徴の一つとして、脅迫的に他人と自分を比較するという点をあげている。そして自分に劣等感を持つ。
  • 競争意識の以上に強い人は、自己観察にも陥りやすい。
  • 一方で相手に迎合し、おもねる。ところが無意識に相手を侮辱しようとしている。相手の失敗を望んでいる。
  • 自己蔑視してしまった人は、自分は人より劣っていても価値があるのだということが理解できない。
  • 嫉妬しやすい人は概して、自分の非を認めようとしない。
  • 自己蔑視とは嫉妬の心理。
  • a) 他人と自分を脅迫的に比較する。 b) 傷つきやすい。 c) 他人が自分を侮辱したり、虐待したりすることを許す。 d) 脅迫的に名誉や力を求める。
  • 白雪姫の美しさは自分の価値を下げない。
  • 逆に認められると気が引けて自己卑下を始める。もともと自分の価値に自信が無いから、認められると却ってそれを否定しようとしたりする。
  • 人は自惚れているから、他人の成功や幸せを妬むのである。
  • 妬み深い人は自分の過去の挫折を消化できていない。
  • 妬みは自分にも出来ると思っていることを他人がして、自分がしないときに起きる。
  • ナルシストは自分のしたわずかな仕事を大変な業績だと思う。自分の考えたことはものすごく創造的なことだと思う。
  • すぐに妬む性格の人は心に傷を持つ人である。何かの挫折の体験を心の中で克服できていない。
  • よーし、やるぞー、と燃えているときには自分の目標に向かって全身が緊張している。そんな時に人は他人を妬んだりしない。
  • 他人を妬む人は自己実現に失敗しているのである。
  • 妬み深い性格の人は、競争しないで受身であるくせに、自分は誰よりも優れていないと気がすまない。そうなると、することは優れた人の価値を下げることに熱心になるしか方法は残されていない。
  • 人は妬みから開放されればされるほど、自分の能力を発揮し、自分を他人と比較しない。
  • そこに到達するために相手が払った努力を忘れている。そこに到達するまでに、相手がどのくらい辛い努力に耐えてきたのかを見ていない。
  • 人と比較してそれを励みにして生きるのがどうして悪いのですか?という質問をする人は、おそらく結果ではなしに、その過程に目を向けている人であろう。人と自分を比較して惨めな劣等感に悩まされるのは、結果しか見ていない人である。
  • 心理的に成長すれば自然と妬みの心理は消えてなくなる。

2014/11/08

考えるということと論理的ということ



 いま野矢茂樹氏の論理トレーニングという本を読んでいる。
なかなか面白い。教養課程の大学生向けの本だそうだが、こういう授業をまじめに受けていると社会に出ても役立つだろう。
言葉というものは使い方によって恐ろしいほどのパワーを持つことがわかる。
その内容は別の機会に譲るとして、冒頭に氏が興味深いことを書いているので引用する。

 「思考は、けっきょくのところ最後はひらめき(飛躍)に行き着く。思考の本質は飛躍と自由にあり、そしてそれは論理の役目ではない。」

 「論理は、むしろひらめきによって得た結論を、まだその結論に達していない人々に向かって説明するための道具である。」


 またこうも続ける。
 「ここで重要なのは、その結論にたどり着いた実際の筋道ではない。」
「どういう前提から、どういう理由で、どのような結論が導けるのか。そしてそれ以外の結論はどうして導けそうにないのか。それらを論理的に再構築して説明する。」

 論理を少しずつ学びながらも、むしろ改めて認識するのは「飛躍」が大切ということだった。
左脳(閃き)と右脳(論理)をバランス良く動かしていかないと、「閃きを実現」していくことは難しいのだと。自分に置き換えると、もともとひらめき方だったのに、大きな会社に入社して、論理の重要さを叩き込まれ、ひらめきを押しつぶしていたように強く感じる。そうか、そういう事だったか。
遠回りしても、それに気づくのに遅すぎることはないと思いたい。

人事の役割は・・。


 或る外資系薬メーカー、大手エレクトロニクスメーカーの人事部門幹部を歴任した方の講演。聴衆はほとんど人事畑の人たち。
もともと面識があったとは言え、こういう改まった場で話を聞くのは初めてだったのだが、非常にInspireされた。

 人事のミッションとは、突き詰めると何か?
「人を育てる、才能を見出す」ことだという。

*人を育てて能力を上げてやる。
*その能力を生かせるようにしてやる。

 そのためには、単にデータだけを見ていてはいけない。 社員の成績をABCにランキングして、それだけでタレントを分類してはいけない。 教育とは、真ん中の人間をさらに上げることよりも、成績が上がらない人を教育することで、一気にAに持っていくことを狙わないといけない。飛躍する可能性があるのはCにいるから。何かをやってみて、失敗しているからCにいる。何もしないでBにいる人よりポテンシャルがあるかも知れない。

 昨今人事の人員構成は100:1が適当と言われている。誰が言い出したのか、それにどういう根拠があるのか、コメントする立場にはない。
 人事はさまざまな業務をこなさないといけない。しかし給料や源泉徴収計算は財務の仕事。健診は厚生部の仕事。つまりアウトソースできる。ただ、社員と話すことだけはできない。人事は社員と話をしてナンボである。そうなると一人当たり100名と話をしなければならない。酒を酌み交わさないといけない。それによって、さまざまな情報を人事は得られるし、そこからタレントを見出せる。
 いま人事部門は多くの苦労を抱えている。ただ、社員とのコミュニケーションだけは失ってはいけない。彼らの上司は与えられた仕事の枠で社員を評価することは出来きる。だが、常にニュートラルに、全方位で社員を評価できるのは人事だけだ。



2014/09/28

絶対に赤字を出さない

先日お亡くなりになった外資系企業会長職の方が、かつて仰っていた。
社長に全ての権限を渡し、運営を任せている。

赤字にしない限り文句は言わない。
但し、一度でも赤字にしたら辞めてもらう。
「そう社長には言っているのだよ。」
にっこりと笑いながら語るその方には凄みを感じた。

事業が順調なので、「そうとうヘマをやらない限り、赤字になるはずが無い」と言うハッキリした読みもあったようである。

とはいえ、覚悟、腹の座った一言だった。


経営トップの役割とは?

 或る外資系企業トップの言葉。
「カントリーマネージャーの役割とは、圧倒的に安全とコンプライアンスにある。」
これは会社のアセットを守ると言うこと。

 会社のブランドが、内的要因・外的要因にかかわらず、一度ダメージを受けるとその経済的な損失は計り知れない。そうならないように、不断の警戒を行い、同時に万が一の事態に備えるのが「社長」の役割。
アンバサダーとしての役割は無論有るものの、それは全体の10%も占めないように思う。




2014/08/09

ツキジデスの罠

アメリカの学者グラハム アリソンが発表した考え方。
新興国が力をつけるとそれを恐れた先進国との諍いが起こること。
過去数百年の歴史を紐解くと15回中11回、戦争が起こっており、
その一つが第一次世界大戦と言う。
パックスブリタニカを謳歌するイギリスと、
新興国プロセイン(ドイツ)との戦いがそれ。
更に第二次世界大戦も同様。もっとも、これは欧州の覇権、アジアの覇権の二つが同時に争いごとの元になっているので、複合的な戦争といえる。

もともとツキジデスが例示したのは、紀元前6世紀頃の古代ギリシャにおいて、陸軍国家として最強、かつペロポネソス同盟の盟主であったスパルタが、急激に海洋国家として台頭してきたアテネに対して、畏怖を感じ、軍事力を行使し戦争に繋がった歴史的事実である。結果としてアテネはギリシャの覇権を握り、スパルタは滅亡への道を進む。

いま正に米中貿易摩擦が起きようとしているが(2014年現在)、このツキジデスの罠にハマろうとしているのかも知れない。
いや、あるいはこれは罠ではなく、theory定理なのかも知れない。
そう考えると将来恐ろしいことが起こるのかも知れず、我々も先々を見通して先手先手で対応策を考えていかねばならない。

He coined the phrase Thucydides Trap where a rising power causes fear in an established power which escalates toward war. Thucydides wrote: "What made war inevitable was the growth of Athenian power and the fear which this caused in Sparta." =Wikipedia英語版より



良きことは

Best things are never in the past, but in the future!

最上の事は、過去ではなく、将来に有る。
常に未来に希望を持ち、自ら良きことを作り出そう...と言う言葉。
FUTURE

2014/08/07

一日の価値は?

一日はいくらか?
無理に計算をしてみる。

日本の国民総所得
587兆円 (世界銀行、2013年の統計)
日本の人口
1億2,700万人 (内閣統計局、2014年7月現在)

国民総所得÷日本の人口=一人当たりの一年間の総所得
462万円

一年365日で割ってみる。
12,663円

ざっと一日は、1万3千円の価値となる。
悪魔が現れて1万3千円で一日の寿命を売ってくれと頼まれたら、私は売るだろうか?

2014/07/16

日本とアメリカについて台湾実業家の視点

EMS最大手、全世界に100万人を超える社員がいるHon-HaiグループのTerry Gou会長が面白い表現をしている。
アメリカは法律と金融の国。
日本はエンジニアと工場の国。
同感である。

ついでに、「日本人は営業力が弱い」。
これも全く同感。
一般的に日本人で、英語でタンカが切れる位の人は一部の例外。
特に深い技術知識を兼ね備えた人は実に貴重。
Terry Gou会長はオレが代わりに売ってやる、と話していた。