2010/09/04

変えてはいけないものがある・・・盛田さんの言葉



 品川駅から御殿山に向かって10分程歩くと、ひっそりとソニー歴史博物館が建っている。 いまはほぼ誰も訪れる人も無く、内部はいつも閑散としている。 そこでソニー創業者の井深さん、盛田さんの肉声がアーカイブになっていて、映像と共に聞くことができる。 

 大きな仕事をした人たちの言葉というのは含蓄がある。 井深さんのソニー設立趣旨書の中に出てくる「真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむるべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」というフレーズは、出来たばかりの小さな会社の、しかも明日潰れるかも知れない状況の中でその会社の責任者が書いた言葉としては驚異的としか言えない。 特に好きなのは・・自由闊達にして愉快なる理想工場の建設、という部分だ。 高度に利益優先になってきたいまの社会では理想であっても非現実的に聞こえるが、だからこそ改めて思い起こしたい。

 もうひとつ、このアーカイブで次の盛田さんの言葉に出会った。 
含蓄のある、印象的な言葉だ。
「変えていくこと、壊していくことは成長のために重要だが、”改革”の美名の下に変えてはいけないもの壊してはいけない。 変えていいものと、変えてはいけないものがある。」 

 社員を前にして語った30年以上も前の言葉と思われるが、いまでも通じる新鮮さがある。 何を変えるべきか、何を守るべきか。 いますべての日本人に問われているのではないか。


(2019年でソニー歴史博物館は閉鎖になってしまいました。残念至極です。レポートを書かれた方のHPを参考までに乗せさせていただきます)
http://tecstaff.jp/2018-12-18_sony-archives_report.html



マルチタスクのイタリア人、シングルタスクのドイツ人

Multi-task
フランス人の友人がから聞いた話。 
「ドイツ人との会議に少し遅れると、そのドイツ人は次の打ち合わせまで時間が無いので、早く済まそうと急にそわそわし始める。」
「人によって仕事の進め方が違い、それは性質に所以する。 国民性の違いも大きい。 ひとつのことをしっかり仕上げてから、次に仕事に取り掛かることをシングルタスク、あれこれと一見バラバラな作業をしつつも、余った時間にアレコレ仕事を詰め込んでこなしていくやり方をマルチタスクと呼ぶ。 ドイツ人は前者のシングルタスクで、マルチタスクはイタリア人に多い。」

「日本人はドイツ人に似て、シングルタスク。」と言われた。 そうかも知れない。 出現率の統計はないが、日本人の仕事の仕方はマルチタスクの人は少ないように思える。 

マルチかシングルかは、別に良い、悪いではない。 仕事の進め方の違いであって、共同作業をする際はシングルタスクが合う。 超多忙に仕事をこなしている人は、もともとの性質がどうあれマルチタスクにならざるを得ないかも知れない。 組織としてはマルチとシングルが、その役割分担の中でうまく歯車が合うのがベストなのだろう。 
「まず最初にその人がドイツ人なのか、イタリア人なのか知るのが大事。」 と彼が言った。