2010/09/04

変えてはいけないものがある・・・盛田さんの言葉



 品川駅から御殿山に向かって10分程歩くと、ひっそりとソニー歴史博物館が建っている。 いまはほぼ誰も訪れる人も無く、内部はいつも閑散としている。 そこでソニー創業者の井深さん、盛田さんの肉声がアーカイブになっていて、映像と共に聞くことができる。 

 大きな仕事をした人たちの言葉というのは含蓄がある。 井深さんのソニー設立趣旨書の中に出てくる「真面目なる技術者の技能を最高度に発揮せしむるべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」というフレーズは、出来たばかりの小さな会社の、しかも明日潰れるかも知れない状況の中でその会社の責任者が書いた言葉としては驚異的としか言えない。 特に好きなのは・・自由闊達にして愉快なる理想工場の建設、という部分だ。 高度に利益優先になってきたいまの社会では理想であっても非現実的に聞こえるが、だからこそ改めて思い起こしたい。

 もうひとつ、このアーカイブで次の盛田さんの言葉に出会った。 
含蓄のある、印象的な言葉だ。
「変えていくこと、壊していくことは成長のために重要だが、”改革”の美名の下に変えてはいけないもの壊してはいけない。 変えていいものと、変えてはいけないものがある。」 

 社員を前にして語った30年以上も前の言葉と思われるが、いまでも通じる新鮮さがある。 何を変えるべきか、何を守るべきか。 いますべての日本人に問われているのではないか。


(2019年でソニー歴史博物館は閉鎖になってしまいました。残念至極です。レポートを書かれた方のHPを参考までに乗せさせていただきます)
http://tecstaff.jp/2018-12-18_sony-archives_report.html