2011/01/30

マーケティングの本は探索中

xxx様


 先日お電話いただいて、マーケティングに関する本を推薦すると申し上げました。 
私がこれまで読んできた本の中で、出色の本をいくつかご連絡しようと思ったのですが、よくよく思い返すと、かなりレンジが広くて、マーケティングを初歩から勉強する、 という趣旨からは少し離れてしまいます。 とは言えビジネスの世界でやっていく以上は役に立つはずですし、お約束ですので、下記をご参照ください。 

 その前に脱線しますが、マーケティングとは何かについて少々ウンチクを。  
 そもそもマーケティングほど曖昧なカテゴリーはなく、小職も30年近く「私のバックグラウンドはマーケティングです」、と自己紹介の度に言ってきていますが、 これは単に横文字で言っておけば、それだけで何か凄いことをやってきたのだろうと、聞く人に勘違いをさせることが目的でしかありません。  

 数学や化学のように規則性が或るわけではなく、そもそも経済(人そのもの)を扱うのがマーケティングですので、法則性などはありません。  その辺りが「学問」とはなかなか呼びにくい理由です。 ドラッガーなどの有名な学者がいますので、強いて言えば、それを読んでください、というところですが、 マーケティングというよりは経営学に近くなっていきます。 

 マーケティングとは何かを説明するのは難しいのですが、或る学者が「営業がいなくても売れるための仕組みを作るのがマーケティングだ。」と言っていたそうです。  確かに目指す方向性としてはなかなか名言だと思います。 ただB2Bの場合はネットで販売するわけではありませんので、「営業」無しで売るというのは少なくともこの10年は 有り得ないと思います。 現実的には、「効率的に売れるようにするための一連の計画作成と活動」という表現が小職が持つイメージに近いと思います。 

 マーケティングに方程式はないのですが、プロセスは或る程度規定できると思います。  
例えば; 
①売るものは何か定義し、理解する。 
②誰に売るのかを定義する。 
③どうやったら売れるかを検討し、プランを作る。 
 メーカーの場合はこの順番で良く、すでに長年の得意先を持っているような商社の場合は②-①-③のように、①と②の順序が逆転します。  商売としては②-①-③の方が上手くいく可能性が高いというのが小職の経験則です。  
お気づきのように一番難しいのが③のところで、この部分でいろいろな本が出ています。  
後で挙げる本のいくつかはこの③にヒントを与えてくれるものがあります。 

 マーケティングをする上で重要なのは営業体験です。 技術営業でもいいと思います。  
加えて、例えば営業に関わる法律の知識、さらには会計知識の基本が必要です。 これは「人」とその集合体である「会社」を扱う以上、 その人や会社の行動規則を知る必要があるからです。 私の場合は、「営業社員向けの法律」という本を新入社員の頃に読んだり、 通勤時に簿記の勉強をしてみたり、日経文庫を読んだりして知識を仕入れました。  
 また事業計画を立てることもマーケティングの一部ですので、以前事業戦略論という本を参考にしながら、策定のプロセスを参考にさせてもらいました。  残念ながら、これらは全て絶版ですので、別途何か良い本が無いか探して見ます。 脱線ですが、最近日本ではマンガ解説だったり、 マニュアル本がはやっています。 受験勉強の効率をあげていくうちにたどり着いた結果なのでしょう。 難しい本を読んで意味を考えているより、 この表やマンガを見ればすぐ判るや、という本が多いわけです。  確かに簡単に判っていいのでしょうが、私には、記憶に残らないような気がしてしまいますが。 


 さて、前置きが長くなりましたので、下記推薦図書です。  

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か エリヤフ・ゴールドラット 
        ・・・ この本はマーケティングでは無く、製造部門の中を効率化する過程の中で、「全体最適」とは何か、「部分最適」を追うとどういう弊害がでるかを説明している名著だと思います。 

ランチェスター販売戦略 (1) (サンマーク文庫) 田岡 信夫 
        ・・・ これも古典なのですが、販売体制や、競合先の嫌がる戦略をどうやって立てるかのヒントになります。 かなり実務的な本です。 これ以降、ランチェスター戦略系の本はたくさん出ています。 
  
まず、ルールを破れ―すぐれたマネジャーは... マーカス バッキンガム 
        ・・・人の特徴をどう掴み、どう生かすか、かなり割り切った考え方ですが、マネジメントや組織を考えるうえで役立ちます。 

戦略的思考とは何か―エール大学式「ゲーム理論... アビナッシュ ディキシット 
        ・・・これもいまとなっては古典ですが、ゲーム理論を実社会にどう生かすかを書いた本です。 題名のとうり戦略思考とは何か考えるきっかけになります。  最近はもっとビジネスに生かすための応用を簡単に解説した本もいろいろでているようです。 

 
私にとっては、5-10年にひとつ出会うかどうかの面白い本だと思っています。 前出のようにマーケティング概論的な本ではありませんが、
 参考図書ということでご理解ください。 


 それではまた。