2011/08/20

プレゼンテーション作成と説明時のポイント


古いノートを整理しているといろいろ出てくる。 プレゼンをするときか、準備をするときの心得だと思う。 出所不明。 内容的にアメリカン人が言いそうなことが多いので、その手の本を読んだのか、それに多少自分の経験を入れたのかも知れないが、もう良くわからない。 
一応ここに書きとめておいて、何かのときのヒントに使おうと思う。

  1. Wait for ready
    • これは始まるまでの準備をしっかりやろうと言っているのか、プレゼンを開始するときの聴衆が静まるまで待つと言っているのか。 その両方だろうか?
  2. Start from the point
    • 単刀直入に言いたいことを最初に述べる。 これは大事。
  3. Have pauses at complex thing
    • 複雑なところは、聴き手が理解できるまで待つ。 沈黙は金なり、ではないが対話の中では重要。 一番難しいが。
  4. Balance 具体性and抽象性
    • 実例を挙げる具体性と、コンセプト的な部分のバランスをとる。
  5. Ask someone's check
    • 誰かに見てもらい理解しやすいかどうかチェック。 ・・・これは自分の経験だな。
  6. Use key word
    • キーワードをちりばめる。
  7. Prepare logic for each points
    • 論理的に。
  8. Use the same logic 
    • 主張に一貫性を。
  9. Words to summarize
    • 一言で言えば何々、と言えるように。
  10. Question to get attention
    • 聴き手が息切れしないように、質問を入れてみる。 場が緊張し、眠気が取れる。
以上

阪神時代の星野監督心掛け八か条

 個人的にはさほど関心が無いが、以前の上司が好きだった星野監督。 その心がけ八か条というのが古いノートにあったので、写しておく。 


1. リストラは、するのが大変
2. いままでの全てを残していく
3. その場で具体的に指示する
4. 迷ったときは前に出る
5. コーチに任せて厳しく接する
6. 大量リードに慢心しない
7. ネガティブスパイラルになると連鎖する、連鎖(連敗)を止める
8. 二、三年先を見つつ今を如何に大切にするかを考える

花のある人だが、あまり勝てていないですよね(失礼)という印象がある。 とは言え、ここに挙がっていることはまともです。 当たり前か。

2011/08/16

ドイツ史10講 坂井栄八郎  (岩波新書)


東大名誉教授の坂井氏が厚さ1センチの新書に2000年に及ぶドイツ通史を書いたものだが、さすがに薄すぎた感がある。 教科書をギュッと圧縮したような印象があって、読む側もそこから本質的なところを読み取るののは難しい。 かと言って10センチのみっちりとした本を読めとなると、途中で挫折するであろうから、初心者は文句を言ってはいけない。

ドイツが長い間、小国に分かれていて、統一国家になったのはほんの150年前のプロシアがドイツ帝国になったときである。 それまでなぜ統一できなかったのかはずっと疑問だった。 また教科書に突然現れる神聖ローマ帝国とは何ぞやとずっと思っていた。 歴史辞典を開いてもその疑問に答えてくれていない。 この本を読んでも、まだ漠然としているのであるが、読み終わった後の理解を書いてみる。 

  • ドイツが小国に分かれていた理由
    • もともとゲルマン諸族は地域と部族に分かれていたため、小さくまとまるのが自然であった。
    • 山間部の多いゲルマンの地理的な理由。
    • 逆にフランス、スペイン、イギリスが比較的早くから統一国家を作り出せたのは、ローマ帝国による比較的大きな土地を管理するための行政組織が残され、かつ整備されたローマ街道によって物資と情報の流れ維持され、これらが中央集権維持のために幸いした。 
      これは世界史的には寧ろ特殊といえる。
    • カトリック教会組織が各地に修道院を設置し、王侯の行政と一体化していたが、同時にこれが小国割拠を促進した。
    • プロテスタント(新教)とカトリックの争いの中で、最終的に二つの宗教をそれぞれの小国が好きに決めていいことになった。 それにより、小国それぞれで宗教が入り乱れることになり、より一層統一を困難にした。
    • 神聖ローマ皇帝はドイツを見ていたというよりは、ヨーロッパを視野に入れており、ドイツ統一にあまり関心がなかった。 皇帝の中にはドイツに行ったことが無いとか、ドイツ語がしゃべれないという人もいた。
    • そもそもドイツ国家という意識が無かった。 ゆえに、ドイツは一つの国家でなければならぬ、という考え方は、近代になって英・仏・西・露などの強豪国家に対抗するために出てきたナショナリズムに由縁する。
  • 神聖ローマ帝国とは
    • これは歴史家でも答えに窮するようである。 
    • 発端はゲルマン民族国家であったフランク帝国を、イタリアのローマ周辺の所領を割譲し、寄進してくれた見返りとして、ローマ教皇が貴国は「ローマ帝国」であるとしたから、神聖なるローマ帝国となった。
    • その後ドイツ諸国でその時々に神聖ローマ皇帝をローマ教皇から認めてもらっていたが、実権があったとは言いがたいケースが散見できる。 
    • つまり神聖ローマ帝国とは国家とは言えず、緩やかな諸国連合と呼んだほうが実態に合う。 皇帝はその象徴ではあっても、治めることはなかった。
    • 皇帝は、自身の直轄領以外の諸国に横槍をいれることはなく、寧ろ入れることが出来なかった。 ハプスブルグ家の一時期、あまりに皇帝の所領が増え、実力が増すと、他の諸国は皇帝の力を削ぐための行動をとった。
    • 当然中央集権でもなく、帝国の首都がどこかもその時々による。 
    • 法律も諸国によってさまざまで、厳格に統一されたものではない。
    • いまのEUに非常に似ている印象を受けた。 もちろん行政、立法にわたる意思決定システムや各国家の権利義務においてその比ではないが、連邦としての捕らえ方が近い。 EUというのはドイツ国民からすると、受け入れやすい考え方だったように想像する。


ところで、オーストリアはやはりドイツの一つなのであろうか。 長年の領土の出入り、世界帝国ハプスブルグ朝のおかげで他民族国家であるオーストリア。 とはいえ、ドイツ系民族がマジョリティであり、当然ドイツ語を話し、共通のシンパシーを持つ。 次回への疑問にとっておく。

戦略プロフェッショナル 三枝匡 (日経ビジネス人文庫)

 書いた当初は否定していたらしいが、自分の体験をつづった小説仕立てのビジネス書。 メッセージのひとつに若いときから経営の実践体験をするべし、がある。 経営者の立場にたって、困難にぶつかった時には、そのときの年齢は関係なく、20代でも50代でも同じように悩み、同じようなルートを辿って解決の糸口を見つけていくそうである。 これは理解できる。 またアメリカと比較して、日本は若い世代がこういう体験をすることが限られていて、ここが決定的な差になっている、という主張がされている。 これも全く同意。 では日本でいくら優秀でも20代、30代の経営者を雇うだろうか、チャンスが転がっているだろうかというと、これは否。 
この三枝さんという方は相当に優秀な人で、三井化学からボストンコンサルティングに転職し、日本人として始めてアメリカ・ボストン本社に抜擢されて赴任した。 その後の米国留学生活の状況を読むに、決心したことはどんなリスクがあろうが徹底的にやりぬくというタイプの人で、だからこそ若いころに大きな仕事を任されたのだろう。 翻って超長期不況の只中の日本でいまの若い人たちはリスクを取るタイプが多いのか、それとも安全な株を買うタイプが多いのか。

さて、肝心な内容はだが意外に古典的で、基本中の基本である。 スポーツでも基本が大事と言うが、プロになるほどに基本が大切なのだろう。

  • 市場の把握=プロダクトライフサイクル(PLC)
    新しい事業に関わることになったときに、最初にやるべきことは、そのビジネスが、導入期・成長期・成熟期・衰退期のどこにあるのかを見定めること。
    • 導入期・成長期初期: 参入が多い。 シェアも変わりやすい。 重要なのは製品の優位性。 価格差は、まだ製品の信頼感が確立していないので、効果は限定的。
    • 成長期: どの企業も似たような商品を出せるようになる。 営業体制、アフターサービスなどの面展開の蓄積が重要。 成長期後半には、価格競争が起こる。 価格競争に勝つには販売量を稼いで価格対応力をつける必要がある。 これはまた資金量の戦いでもある。 脱落するメーカーも出てくる。
    • 成熟期: 少数安定の競合関係になる。 これを複合的優位性と言う。 マーケットシェアはほぼ確定して、新しい優位性を出す余裕は無い。 逆に言えばトップ企業の勝ちパターンとなる。
    • 市場の成長率と自社の売り上げ成長率を比較してみるといい。 このときに、グロスの成長率だけでなくて、自社製品や地区にセグメントして、比較してみると弱いところが良くわかる。
  • 自身のポジションの把握=事業成長ルート(プロダクト・ポートフォリオ PPM)
    • 縦に成長率(上が高い、下は低い)、横にマーケットシェア(右が弱い、左が強い)の表を作り、自分らの事業がどう動いたかをプロットする。 これはプロダクトではなく、事業そのものがPPM上のどこからどこに移ろうとしているかを描いて整理するもの。
    • たとえばいま私が担当している事業だと、最初競合がほぼなく、成長もなかったので、Cash Cow。 そこから成長率がいきなり上がって、Star。 その後競合が出てきて、一度シェアが下がり(Problem children)、さらに成長率が下がり始めてDogになりかけんとしたところを何とかシェアを上げてCash cowに。 今後はさらに成長率が下がりCash Cowになり続けるべくシェアを追うべし・・・といったところだろうか。
    • ただしこれはかなり異例なパターンで、通常のルートは右上のProblem childrenからスタートして、Star ⇒ Cash cowの栄光ルート、Dogへのどん尻、あるいは混戦ルートを辿る。
  • ターゲットの選定=セグメンテーション
    どうマーケットをセグメントするか。 つまりどう「絞る」か、すなわち「捨てる」かが企業戦略のコアになる。 ここが戦略の肝になるところで、うまくセグメントが出来れば勝ち戦だそうである。 
    • 手法としては二つあり、それは、①先に商品があるので、誰を顧客にするか、②先に顧客がもう決まっているので、何を売るか、である。
    • いづれの場合も、シンプルなものが良く、ブレストで探していくのがいいとされる。 一例としては、縦に売り込みに成功した場合の当社のメリット、横に顧客側の製品に対する興味とニーズの強さを入れて、その中に顧客名を入れていくやり方がある。 つまり、供給側のメリットと需要側のメリットを 2 x 2のマトリックスで表して、ターゲットを決めていくという方法。 
    • 常識を使えば、お客も喜び、こちらも嬉しいというwin-winになるボックスが優先度No. 1なのは自明だろう。 このようにボックスごとに優先順位をつけていく。
    • 肝心なのは優先順位をつけた以上、他の顧客は待ってもらうこと。 そうしないと絞った意味が無くなる。
    • フォローが肝要。 セグメンテーションに基づくアクションが確実になされているかのモニターチェックを週単位で行うことで、確実な実行を期待できる。 なおかつ円滑なコミュニケーションが期待できる。 ここをしないとセグメンテーションしただけになり、効果が期待できない。
こういう戦略において非常に重要なのは、誰にでも理解できるようなシンプルさだと云う。 判りやすいとうことと、実行しやすいということの両面から言えることだそうだ。 マトリックスもせいぜい 2 x 3程度に留めること。 
またこれらを実行するにおいて、①覚悟があるか、②緻密にやったか、③夜、平気で寝れるか、を自分に問う必要がある、としている。

読み終えて得るものが多い、いい本だったと思う。 理論は知っているものばかりなので難しくないが、実体験に基づいているせいか、具体的で判りやすい。 また単純に小説としても楽しめる。 若い人が読めば、「竜馬が行く」と同じような高揚した気分になって仕事に励みそうな本である。 惜しむらくはもう少し若いときに読みたかった一冊。