2009/03/30

上手になると言うこと

 まだ20台の若手技術者に、少しは尊敬して貰いたくて「俺もマイコンを始めたよ。週末はボードを組立てるんだ。」と言ってみた。
その若手が言ってくれた。
「いいっすね。いいシステムを作れるかどうかは、ボードをどれだけ沢山作ったかで決まるんです。」
 私が、ちょっと予防線を張ろうと「キットを買ってきただけだし、ボードを作っても、上手く動かせないんだけどね。」と言うと、
「だからこそ面白いんでしょう!」

 受験のときに、野球の王選手がスランプになると、まだ練習が足りないと、更に素振りしているらしい、「いわんや君たちは・・」と先生に言われていたのを思いだした。
反復練習はどの時代もどの分野でも大事であることを今頃思いだした。最近インスタントにいい結果を求める風潮があるからこそ忘れずにいたい。

2009/03/29

電話はなぜつながるのか 米田正明著 日経BP



 電話がつながる仕組みと、IP電話、携帯電話の基本を読んだので覚えを書く。

【加入電話】
■まずはお試しテスト;
◎電話機と電話局はそれぞれの家から電話線が蛸足のようにつながっている。 YESかNOか?
 答え: そのとおり。
◎電話機の受話器を上げると、電池につながる豆電球のように電気が流れる。
 答え: そのとおり。 (ただし呼び出しベル用の電線はいつも繋がっている)
◎受話器を上げたらツーと音が聞こえる。 この音はどこから来るか?
 答え: 一番近くの電話局にある交換機が出している。
◎相手の呼び出し音はどこから聞こえてくるか?
 答え: 相手の電話機がつながっている電話局の交換機から聞こえてくる。
◎相手の電話機をリーン、リーンと鳴らしているのは誰か。
 答え: 相手側の交換機が、相手の電話機に信号を送り、鳴らしている。


■電話線は電話局の交換機に直結されている。 ここまでは糸電話と同じ。
 つまり電話は交換機と繋がってお話をしている。


■交換機はたくさんある。 地域ごとに電話局があり、電話局の中には交換機がたくさんある。 そして交換機同士は、地域にある電話局はスター型で、中核の電話局はリング型でつながれている。


■交換機同士は音を流す回線と、コントロール信号を流す、「共通線」と呼ばれる回線の二種類でつながれている。  この「共通線」はIP電話やインターネットにも利用されている概念で非常に重要な仕事をする。 昔の交換士はおそらくこういう仕事をしていたのだと思われる、そんな概念。

■この信号線はSTPと言う信号線専用の交換機につながる。 ある電話番号から別な電話番号に音声をつなぐときに関連する電話交換機に指示を出すのは、じつはこのSTPの役割。 電車のレールが音声回線だとすると、その切り替えと信号機を合わせた役割がこの共通線とSTP。

■大量の音声データは交換機と交換機の間に何千万本も物理的な回線を敷く訳には行かないので、重畳といって、交互に音を流す仕組みを持っている。 なおかつそれをスイッチングすることでさらに複数の音声を回線に流すことができる。



【IP電話・光電話】

■ADSLと光は双方とも電話線が屋外に出る前にアダプター(モデム)を中継すると言う点でそっくりだが、屋外からが光ファイバー(FTTH)を使うか、電話線をそのまま使うかの違いがある。

■アダプターは電話機に対しては交換機のふりをし、ネットワークの先の電話局内にあるSIPサーバーに対しては、パソコンのように振舞っている。
 たとえば受話器を上げたときのツー・ツー音は電話機に直結したアダプターが鳴らしているし、呼び出し音も相手のアダプターが相手の電話機を鳴らしている。 
■SIP(Session Initiation Protocol)とはIP電話同士をつないだり、切ったりするコントロールのためのプロトコルで、それをつかさどる箱をSIPサーバーと言う。 機能としては加入電話における信号線交換機STPと同じ。 IP電話(アダプター)は固定IPは持っていないのが普通で、それでもSIPサーバーを経由することにより相手の電話機までたどり着けることができる。 

■NAT (Network Address Translation)はIPパケットのアドレスを別のアドレスに書き換える機能をさす。 
実は、アダプター側から見えているSIPサーバーのIPアドレスは偽物になっている。 なぜなら電話の盗聴をされたり破壊活動をされないようにするため。 NATサーバーはアダプタとSIPサーバーの間に立ち、SIPサーバーの中身を見られないようにしている防御壁になっている。 




【加入回線とIP電話はどうつながるか】
■信号ゲートウェイ、メディア・ゲートウェイが双方の間に立っている。 このゲートウェイが接続処理をしている。

■信号ゲートウェイは、IP電話用アダプタからはSIPサーバーに、加入電話からは信号線交換機STPに見えている。

■メディア・ゲートウェイは、IP電話用アダプターからは相手のIPアダプタに、加入電話からは電話交換機に見えている。


【携帯電話】
■携帯電話を持っていると、常に一番近くの無線基地局と通信している。 そこを移動すると、新たな無線基地局につながる。 

■いまその携帯電話がどこにあるかは、常に無線基地局から有線で携帯電話専用の制御装置と交換機につながっている。 ここからの仕組みは加入回線とほぼ一緒。






※相変わらず理解能力が追いつかないが、電話の仕組みがぼんやりとわかってきた。 文章が判りやすく、私のようなものにも判りやすく書こうという意思が見える。 日経の技術雑誌の副編集長をしている人と知って納得した。 ちなみに大学も会社も同窓のようだ。











2009/03/22

2日で人生が変わる箱の法則 (アービンジャーインステテュート)


 この本は人間関係を良くしていくためにはどうするべきかを説明している。 人間の心の動きをパターン化した分析をしていて、多くの人に当てはまる、あるべき行動パターンを示している。 前作の「自分の小さな箱から脱出する方法」の続編だが、印象としてはこちらの方が判りやすい。 双方とも小説仕立てで読み飽きない工夫がしてあって良い。

■性善説に立って、「こうしてあげるべきだ」という「善」がある。
■何らかの事情で「こうしてあげるべき」ことをしないと、自然に正当化をはじめる。
■「正当化」すると、相手を人として見ずに「物」として見るようになる。
■さらにお互いに自分を正当化するために、より関係を悪くする方向に行動する。
★この状況をこの本では「箱」に入っていると表現する。

■箱には4種類がある;
・優越の箱
・当然の箱
・体裁の箱
・劣等感の箱
 人は場所や、相対する相手によって、この箱を付け替えている。 
 2つ以上の箱を身につけることも珍しくない。

■箱から出る方法
1.箱の兆候を探す (非難、正当化、冷酷さなど)
2.箱の外の場所を見つける (箱の外の人間関係、記憶、行動、場所など)
3.状況を箱の外の観点から考える
役に立つ質問;
- 相手の課題、試練、苦しみは何か。
- 自分はそれをどう増大させているか。
- 自分はどんなやり方でそれを増大させてきたか。
- 自分はどの「箱」に入って真実を見えなくしているか。
- 相手に何をしてあげるべきか。
4.箱の外にとどまるためには・・・自分がするべきことをやり続ける

【総評】内容は教会やお寺で説教されるのに近い印象を持つが、決して自己犠牲を強いている訳でない。 あくまで本来どう対処するべきか、人間は生まれる前から知っていて、それに素直に従うべきというところがポイントだろうか。 だから相手が本当に悪ければそれを直してあげるためにかなりキツイことを言うこともあるのである、もちろん非難感情ではなく。 人間は相手の感情を読み取る能力に秀でているから、非難感情がなければ受け入れてしまえることがある。  
 非常にいいことが書いてあるが、実行するのはなかなか難しい。 実際には一日中自分を裏切ってばかりいるように感じる。 それも気づかぬうちに。 この本でもそのことが書かれている。 「自分がいま箱に入っていないか」と、問いかけてみる気持ち、それが第一歩だろう。
 ちなみに本の中で、中東問題、つまりイスラエルとアラブの歴史的対立ですらこの方法で解決できると示唆している。 そうありたいものだ。


コンピュータはなぜ動くのか 矢沢久雄著 日経BP




 コンピュータとは何か、プログラムとは何か。 知っておくべき基礎知識をまとめたいい本なので、覚えを記す。 矢沢久雄氏が書いたこの本は私のようなズブの素人でも判りやすい。 コンピュータの進化に付き合ってきて、体験で以って本当に判っている人だから書けるのだろうという表現も多い。
コンピュータはなぜ動くのか
■コンピュータの絶対的な基礎
 1.コンピュータは入力、演算、出力を行う装置
 2.プログラムは、命令とデータの集合体

 3.コンピュータの都合は人間の感覚と異なる場合がある

■マイコンの構成要素
 1.CPU
 2.メモリー
 3.I/O (外部装置を接続するInput/Output)
 ※および重要な周辺機器としてはクロックジェネレータ、
  入力スイッチ

■プログラム言語
 1.コンピュータの言葉はマシン語 (2進法)
 2.マシン語を人間に判りやすくしたのがアセンブリ語 (10、16進法)
 3.より人間に判りやすいのがC言語、Java、BASIC
 4.  言語間の翻訳をコンパイル。 翻訳する仕組をコンパイラー。
 ※コンピュータ言語はまさに言語なのだと理解した。 
  未開地の人々と話をするのには通訳を何人も介さねばならぬときがあるが
  それと一緒。
 ※アセンブリ語などは英語そのもの。 コンピュータがアングロサクソン圏で進化した
  からだろう。 またアルファベットは2進法に置き換えるのに向いているように思う。
  漢字では大変。


■フローチャートとアルゴリズム
 コンピュータに何の仕事をさせるかの流れを書くのがフローチャート。 アルゴリズムとは課題の解き方、手順。 故にフローチャートを描くということは、アルゴリズムを書いていることと同義語。
コンピュータは頭が悪いので、フローチャートを描くときは小姑のようにクドク書く必要がある。 
人間では無いのが幸いして、一度行っておけば確実に実行するので、簡潔にしておく必要がある。

■オブジェクト指向プログラム
 開発が大規模になってくると、組織で分業することになるし、すでに世の中に存在しているプログラムを買ってきて部品として組み込むことが必要になる。 これがオブジェクト指向プログラム。 ただし、その管理には経験とセンスが必要で、失敗したり、却って効率が悪くなることもある。 

■データベース
 ハードウェア、プログラムと、このデータベースが広義のコンピュータにとっての3大要素。 
データベースの構成要件は;
 1.データファイル
 2.DBMS (データマベースマネジメントシステム)
 3.アプリケーション
 DBMSはMS Access、Oracleなどが製品として出ている。 アプリケーションはデータファイルを直接読み書きせずにDBMSを仲介して間接的に読み書きする。 DBMSはキー機能、インデックス機能などを利用して簡単にデータ・ファイルを読み書きできるようにし、データを矛盾無く安全に保つ機能を持っている。
 SQLはStructured Query Language。 ISOで策定された標準語で、アプリケーションがDBMSに指示を出すときに使われる。 やはり英語の命令文に似ている。

■TCP/IPネットワーク
 コマンド・プロンプトで出来るネットワークを垣間見る実験。
 1.MACアドレスをipconfig/allで見てみる。
 2.同じ方法でIP Addressを見てみる。
 3.DHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol)の役割をマイネットワークで知る。
 4.ルーターの役割を、route printで知る。 また経路をtracert www.xxx.comで知る。
 5.DNSサーバーの役割を知るために、nslookupを実行させ、プロンプト (>)の後にwwwを入れるとIPアドレスが現れるのを確認する。

■データの暗号化
 文字コードをずらす。

■XML
 Extensible Markup Language。 HTMLはWebページを記述するためのマークアップ言語。 XMLは任意でマークアップ言語を定義できるメタ言語。


★総評: この覚えを作るために改めてこの本を眺めると、10分の1程度しか理解できていないということが良くわかった。 とは言え、まずは興味を持たせてもらえたので有難い本だった。 
いくつかこの本を通して利口になったことを挙げる。
 コンピュータは0と1しか判らない機械でしかない。 その機能は、演算と記憶と出力しか無い。 また推測が出来ないから、人間であれば当たり前のことでも噛み砕いて丁寧に、指示する必要がある。  
 プログラミング言語はつまり外国語の勉強のようなもの。 外国語には不規則な法則がいろいろあるが、それらは必要無いことから案外簡単かも知れない。 反面、論理的でなくてはならない。 
人に依頼や指示をするときに、どう話してやれば判るか、どう簡潔に説明するかを考えることがあるが、それと同じ。
 ネットワークについては、いま読んでいる「電話はなぜつながるか」や「ネットワークはなぜつながるか」により詳しいが、つながる相手同士が「私はxxしました、どうぞ。」「了解しました、どうぞ。」とトランシーバーで話しているのと同じ動作を機械的にしている。

 ところで、2009年の目標として、コンピュータとネットワークの基礎知識を身につけることを掲げた。 いまさらという気もするものの、いくつになっても遅いということは無いので、いま月に3冊ペースで本を読んでいる。 もともとベースが無いので読んでも中身が大して理解できないうえに、最近は目が悪くなって文字を読んでいても集中できず頭に入らない。 もどかしいのだが、欲をかかずにこの一年間は続ける。 もうどっさり本を買い込んでしまったので後に引けないし、会社で後輩達に宣言してしまったので有言実行しないと後で恥ずかしい。

2009/03/16

ヨガの先生の人生訓的ふたこと


 横浜市の外郭団体が主催しているイベントに、外国人を招いて英語で議論するものがある。 以前イラク大使が来たのと同じイベントだ。 昨日はヨガのインストラクターをしているアメリカ青年がやってきて、ヨガ入門と健康について、という題で話と実演をした。 一緒に体を動かし、汗をかいてしまった。 この青年は話も巧く、アクターやアナウンサーもしている活動的な人で、先日も東京ドームで行われたWBCの英語アナウンスをしたそうだ。 話を聞いているときに、書き留めたのが下のふたつ。

※「私は何でも知っている・・、という人にはBe careful。」
※「誰とcompeteするか? 誰ともしないんです。 昨日の自分よりbetterになれたかを問うのです。」

 ヨガをやっている人にはちょっと怪しげな人もいる・・実感として。 と同時にヨガは自分との精神的な戦いだと聞いたことがある。 なるほど、やっている人ならではのコメントだと思った。 
 余談だが、ハーレクイーンロマンスのイメージキャラクターになろうとしているので、皆さんのエネルギーで応援してくれ、と訴えていた。 でも芸名で出るそうなので、本人と判らなければ応援にしようがないのに。 でも、あれこれチャレンジしている、面白い青年で、ちょっと元気を貰った。

2009/03/03

生前分与免税 (不況下の景気対策)

 2008年後半から始まった世界不況は100年に1度と言われるが、日本の景気もひどい状況に陥りつつある。 それに対する私案のひとつとして、先月まで日経新聞の私の履歴書を執筆していた、ある大手コーヒーチェーンの創業者が面白いことを書いていた。
 死後相続でも、生前相続でも税金が掛かる。 いっそ生きているうちの贈与は税金をただにしてはどうか、と言うもの。 少しひがみ根性で言うと、確かにお金持ちが考えそうな案だと言える。 一方、冷静に考えると、かなりの妙案である。 実は中高年の貯金額は数百兆円に上るとされている。 なぜ使わないかというと老後の心配だからだ。 本質的には医療、年金などの不安が解消されないと本当の意味での内需は増えない。 が、高所得者、資産家の悩みはその相続税の高さとも言える。 相続税は、社会一般への富の再分配として必要だと考える。 だから相続税は手をつけなくてもまだいい。 一方で生前分与を無税とすれば、直ぐに消費に回せるお金が世の中に出てくるだろう。 もともと死後に払う予定だった税金が減ることになるが、少なくとも直近の税収は減らない。 一方で数兆円単位の景気刺激が出来てしまう。 勿論、生前分与が長期資産の金(きん)とか土地とかでなく、減価償却するもの、例えば住宅、車等の「購入」に使われるよう税制上の工夫をするのは当然だが。

国際交流会館

 2月に横浜留学生会館の交流イベントに参加した。 中国語と英語の交流会に参加して、それぞれ中国からの留学生、及び世界各国の留学生と2時間程度のおしゃべりを楽しんだ。 
 日本人は白人コンプレックスがあり、アジア人を見下すようなところがあるので、中国や東南アジアから来た留学生は苦労しているのではないか、何か助けて上げられることはないかと思って参加してみたのだが、みな明るく、前向きで立派な若者なのに関心してしまった。 いつも思うが若い留学生は優秀である。 特にこういう公共施設に入れる学生らは国から選抜されて来日し、日本でも名の有る大学に通っている人達が多い。 上海から来た中国の女学生などは日本人より日本語が上手で、しかも午後の英語の交流会にも参加して流暢な英語を話していたのでビックリした。 

 この会館は留学生寮にもなっていて、一ヶ月2万円程度の寮費だそうである。 さすがにこれだけ安いところはなかなか無いので、人気も高い。 だからここに入れない圧倒的多数の学生は、世界不況と円高のせいで生活も厳しい。 そのため学業どころではなく、お金のために悪い道に入ってしまうケースも多いと聞く。 彼らはいづれ母国に帰ってその国をしょって立つ人材に育っていく。 彼らの日本に対するイメージはそのまま日本の将来の国益に跳ね返ってくる。 そう考えると、もっともっと彼らをサポートする政策を国として採っていくべきだろう。 われわれ市民も、出来ることをするべきだし、自治体もそれを後押しできるように留学生の実情を伝え、交流をもっともっと促進するべきだと思う。