2009/03/22

2日で人生が変わる箱の法則 (アービンジャーインステテュート)


 この本は人間関係を良くしていくためにはどうするべきかを説明している。 人間の心の動きをパターン化した分析をしていて、多くの人に当てはまる、あるべき行動パターンを示している。 前作の「自分の小さな箱から脱出する方法」の続編だが、印象としてはこちらの方が判りやすい。 双方とも小説仕立てで読み飽きない工夫がしてあって良い。

■性善説に立って、「こうしてあげるべきだ」という「善」がある。
■何らかの事情で「こうしてあげるべき」ことをしないと、自然に正当化をはじめる。
■「正当化」すると、相手を人として見ずに「物」として見るようになる。
■さらにお互いに自分を正当化するために、より関係を悪くする方向に行動する。
★この状況をこの本では「箱」に入っていると表現する。

■箱には4種類がある;
・優越の箱
・当然の箱
・体裁の箱
・劣等感の箱
 人は場所や、相対する相手によって、この箱を付け替えている。 
 2つ以上の箱を身につけることも珍しくない。

■箱から出る方法
1.箱の兆候を探す (非難、正当化、冷酷さなど)
2.箱の外の場所を見つける (箱の外の人間関係、記憶、行動、場所など)
3.状況を箱の外の観点から考える
役に立つ質問;
- 相手の課題、試練、苦しみは何か。
- 自分はそれをどう増大させているか。
- 自分はどんなやり方でそれを増大させてきたか。
- 自分はどの「箱」に入って真実を見えなくしているか。
- 相手に何をしてあげるべきか。
4.箱の外にとどまるためには・・・自分がするべきことをやり続ける

【総評】内容は教会やお寺で説教されるのに近い印象を持つが、決して自己犠牲を強いている訳でない。 あくまで本来どう対処するべきか、人間は生まれる前から知っていて、それに素直に従うべきというところがポイントだろうか。 だから相手が本当に悪ければそれを直してあげるためにかなりキツイことを言うこともあるのである、もちろん非難感情ではなく。 人間は相手の感情を読み取る能力に秀でているから、非難感情がなければ受け入れてしまえることがある。  
 非常にいいことが書いてあるが、実行するのはなかなか難しい。 実際には一日中自分を裏切ってばかりいるように感じる。 それも気づかぬうちに。 この本でもそのことが書かれている。 「自分がいま箱に入っていないか」と、問いかけてみる気持ち、それが第一歩だろう。
 ちなみに本の中で、中東問題、つまりイスラエルとアラブの歴史的対立ですらこの方法で解決できると示唆している。 そうありたいものだ。