2009/03/03

生前分与免税 (不況下の景気対策)

 2008年後半から始まった世界不況は100年に1度と言われるが、日本の景気もひどい状況に陥りつつある。 それに対する私案のひとつとして、先月まで日経新聞の私の履歴書を執筆していた、ある大手コーヒーチェーンの創業者が面白いことを書いていた。
 死後相続でも、生前相続でも税金が掛かる。 いっそ生きているうちの贈与は税金をただにしてはどうか、と言うもの。 少しひがみ根性で言うと、確かにお金持ちが考えそうな案だと言える。 一方、冷静に考えると、かなりの妙案である。 実は中高年の貯金額は数百兆円に上るとされている。 なぜ使わないかというと老後の心配だからだ。 本質的には医療、年金などの不安が解消されないと本当の意味での内需は増えない。 が、高所得者、資産家の悩みはその相続税の高さとも言える。 相続税は、社会一般への富の再分配として必要だと考える。 だから相続税は手をつけなくてもまだいい。 一方で生前分与を無税とすれば、直ぐに消費に回せるお金が世の中に出てくるだろう。 もともと死後に払う予定だった税金が減ることになるが、少なくとも直近の税収は減らない。 一方で数兆円単位の景気刺激が出来てしまう。 勿論、生前分与が長期資産の金(きん)とか土地とかでなく、減価償却するもの、例えば住宅、車等の「購入」に使われるよう税制上の工夫をするのは当然だが。