2009/03/29

電話はなぜつながるのか 米田正明著 日経BP



 電話がつながる仕組みと、IP電話、携帯電話の基本を読んだので覚えを書く。

【加入電話】
■まずはお試しテスト;
◎電話機と電話局はそれぞれの家から電話線が蛸足のようにつながっている。 YESかNOか?
 答え: そのとおり。
◎電話機の受話器を上げると、電池につながる豆電球のように電気が流れる。
 答え: そのとおり。 (ただし呼び出しベル用の電線はいつも繋がっている)
◎受話器を上げたらツーと音が聞こえる。 この音はどこから来るか?
 答え: 一番近くの電話局にある交換機が出している。
◎相手の呼び出し音はどこから聞こえてくるか?
 答え: 相手の電話機がつながっている電話局の交換機から聞こえてくる。
◎相手の電話機をリーン、リーンと鳴らしているのは誰か。
 答え: 相手側の交換機が、相手の電話機に信号を送り、鳴らしている。


■電話線は電話局の交換機に直結されている。 ここまでは糸電話と同じ。
 つまり電話は交換機と繋がってお話をしている。


■交換機はたくさんある。 地域ごとに電話局があり、電話局の中には交換機がたくさんある。 そして交換機同士は、地域にある電話局はスター型で、中核の電話局はリング型でつながれている。


■交換機同士は音を流す回線と、コントロール信号を流す、「共通線」と呼ばれる回線の二種類でつながれている。  この「共通線」はIP電話やインターネットにも利用されている概念で非常に重要な仕事をする。 昔の交換士はおそらくこういう仕事をしていたのだと思われる、そんな概念。

■この信号線はSTPと言う信号線専用の交換機につながる。 ある電話番号から別な電話番号に音声をつなぐときに関連する電話交換機に指示を出すのは、じつはこのSTPの役割。 電車のレールが音声回線だとすると、その切り替えと信号機を合わせた役割がこの共通線とSTP。

■大量の音声データは交換機と交換機の間に何千万本も物理的な回線を敷く訳には行かないので、重畳といって、交互に音を流す仕組みを持っている。 なおかつそれをスイッチングすることでさらに複数の音声を回線に流すことができる。



【IP電話・光電話】

■ADSLと光は双方とも電話線が屋外に出る前にアダプター(モデム)を中継すると言う点でそっくりだが、屋外からが光ファイバー(FTTH)を使うか、電話線をそのまま使うかの違いがある。

■アダプターは電話機に対しては交換機のふりをし、ネットワークの先の電話局内にあるSIPサーバーに対しては、パソコンのように振舞っている。
 たとえば受話器を上げたときのツー・ツー音は電話機に直結したアダプターが鳴らしているし、呼び出し音も相手のアダプターが相手の電話機を鳴らしている。 
■SIP(Session Initiation Protocol)とはIP電話同士をつないだり、切ったりするコントロールのためのプロトコルで、それをつかさどる箱をSIPサーバーと言う。 機能としては加入電話における信号線交換機STPと同じ。 IP電話(アダプター)は固定IPは持っていないのが普通で、それでもSIPサーバーを経由することにより相手の電話機までたどり着けることができる。 

■NAT (Network Address Translation)はIPパケットのアドレスを別のアドレスに書き換える機能をさす。 
実は、アダプター側から見えているSIPサーバーのIPアドレスは偽物になっている。 なぜなら電話の盗聴をされたり破壊活動をされないようにするため。 NATサーバーはアダプタとSIPサーバーの間に立ち、SIPサーバーの中身を見られないようにしている防御壁になっている。 




【加入回線とIP電話はどうつながるか】
■信号ゲートウェイ、メディア・ゲートウェイが双方の間に立っている。 このゲートウェイが接続処理をしている。

■信号ゲートウェイは、IP電話用アダプタからはSIPサーバーに、加入電話からは信号線交換機STPに見えている。

■メディア・ゲートウェイは、IP電話用アダプターからは相手のIPアダプタに、加入電話からは電話交換機に見えている。


【携帯電話】
■携帯電話を持っていると、常に一番近くの無線基地局と通信している。 そこを移動すると、新たな無線基地局につながる。 

■いまその携帯電話がどこにあるかは、常に無線基地局から有線で携帯電話専用の制御装置と交換機につながっている。 ここからの仕組みは加入回線とほぼ一緒。






※相変わらず理解能力が追いつかないが、電話の仕組みがぼんやりとわかってきた。 文章が判りやすく、私のようなものにも判りやすく書こうという意思が見える。 日経の技術雑誌の副編集長をしている人と知って納得した。 ちなみに大学も会社も同窓のようだ。