2020/04/04

ダイバーシティと無意識の偏見



 今回は恥ずかしながら自著の宣伝である。
きっかけは無意識の偏見という考え方を知ったことから始まる。偏見を無意識に持つことが日常的にあり、これを無くしてしまうことは難しいが、意識することで偏見を少なくすることができるという考え方だった。私は脳科学の観点から、どうして人間は無意識にいろいろな偏見を持つのだろう、また意識とは何なのだろう。そんなことを考えながら様々なレポートを読み、本を漁った。その結果、これは太古の昔から人間がもつ能力の一つであり、偏見というのはその能力の副作用であると理解することができた。
 私の専門は実社会での経営であるとともに、たまに依頼されて研修や大学で講義をすることがある。マーケティング、経済学、経営など、ビジネスに関する勉強をしてきたつもりなので、何かこの「無意識の偏見」という概念が実ビジネスに役立たないかを考える中で、本来私が常に危機感を持っていた日本人のグローバリゼーションの遅れ、ダイバーシティの遅れにそのまま直結するように感じ、試行錯誤を重ねて、この二つが密接につながり、ダイバーシティの加速条件のひとつが無意識の偏見であると考えて、この本を書いた。

 日本はこの特に2000年以降、ことに2010年以降、国際化において特にアジア諸国と比較して大きく遅れてしまっている。成長率はもとより、一人当たりGDP、教育レベル、論文の引用数、企業の株価総額、いづれも目を覆うほどである。
この本を、これから日本を背負っていく中堅の社会人から学生までへのメッセージとして、ダイバーシティ(つまりグローバル化、国際化)の重要性を具体例を挙げながら説明し、そのメリットを訴え、どうすればダイバーシティを加速できるか読者と一緒に考えることができるように書いたつもりだ。併せて無意識の偏見がいかにダイバーシティを阻害するか、どう自分の持つ偏見を付き合っていくかを説明し、若い世代へのキャリアアップ、スキルアップを応援するつもりで書かせていただいた。ご一読いただければ幸いである。
 コロナウィルス騒動で日本が、世界が慄いているいまだからこそ。
2020年3月