私の解釈と思いいれも入っているので、この理論を正確には反映していないかも知れないが。イノベーションのジレンマという言葉はビジネスのキーワードとも言える、それがこの本から来ていることは意外にしられていない。
- 優良企業、大企業は顧客のニーズに応えるべく製品の性能を上げていく。これを持続的イノベーションと呼ぶ。
- 持続的イノベーションはある一定の期間で顧客のニーズを超えてしまう。それでも優良企業はさらなる改善を推し進め、性能を上げていく。 ニーズと、製品の性能の差は付加価値を生まず、コストとして認識されていく。
- 一方で従来の製品の延長上にはない、潜在的なニーズに着目して全く新しい価値を生み出すのが破壊的イノベーション。
- 優良企業、大企業は 破壊的イノベーション のニーズが当初非常に小さいため、自らが求める収益上の魅力を見出すことはなく、無視する。
- 破壊的イノベーションの性能が進み、新たなニーズが市場で広く認められた結果、優良企業の提供してきた従来型の製品価値は一気になくなってしまう。
ポイントは、破壊的なイノベーションの傾向として、既存の製品よりも性能が劣る、当初のニーズが少ない、でも価格が安い、などの傾向がある。 例えばオーディオステレオ全盛の頃に出てきたソニーのウォークマン。さらにはCD/MD携帯ステレオ全盛の時代に出てきたMP3プレーヤー。 いずれも音質的には大きく劣るにもかかわらず、新たなライフスタイルとして認識されるとともに、価格の安さから若者層に浸透して新たなマーケットを創出した。
ところで、この本の帯に当時ソニー会長兼CEO 出井伸之氏が推薦の言葉を載せている。 2011年度に数千億円の赤字を出していまや株価1000円を切ろうという企業の元最高責任者が推薦することに時代の皮肉を感じざるを得なかった。
(2012年6月時点)