いまの金融市場はすでに人がディーリングすることは少なくなってきていてコンピューターが売り買いをしているそうである。 全体の約7割はコンピューターが過去のデータを元にどこでどのくらいを売るか、買うかを判断して一瞬の内に売買成立させているとのこと。
ウォール街のある小規模ヘッジファンドでは朝出社してコンピューター画面を見る。昨夜から数十万ドル稼いでいるのをみて、「うん、今日は調子がいい。」と社員がほくそ笑む。これは想像ではなくて、実際の場面の一こま。
2010年にこれらコンピューターが暴走して大きな株価変動が起きた。突然あるコンピューターがある会社の株に対して、とんでもなく安い「買い」を入れた。その瞬間、別なコンピューターが「売り」を入れた。それをきっかけに、あっという間に大量の売りと買いが入り、一気に株価が暴落した。直前の10分の1にまで下がったのである。その間、なんと僅か4秒である。
実はそれ以降、コンピューターの暴走はあらゆる局面で起きている。株にしても、為替にしても、われわれの社会はすでに自分自身でコントロールできないものに身を預けている。以前ワンクリックで売買をする「株主」が本当にわれわれが働く会社の「所有者」と言えるのか疑問を呈した。いまはワンクリックどころではない。企業活動の資金調達は本当にいまのままの市場に頼っていいのだろうか。