2012/06/09

財のなりたち・・・2

 猿にバナナを持たせる。もう一つ好物のリンゴを見せて、交換させようとしても、両方欲しがるそうである。物を「交換する」という概念は人間だけにしかないのだそうだ。
 人類の最初の「お金」は穀物、塩、家畜だった。それを交換して、豊かさが広がっていく。そこに現れたのが本物のお金、「コイン」だった。これは革命的な発明で、それ以前の物々交換との圧倒的な違いは「貯蓄できる」ことである。腐らない、だから貯めることができる。それによっていつでも使えるし、飢饉の際に備えることができる。
 最初のコインは紀元前600年にギリシャで生まれたそうである。何と口の中に入れて運んだそうな。 「お金」が流通する前の社会は共産的な社会だったはずだ。貯めるものがないから、一人だけが突出することがない。マンモスを捕獲して食べるにしても一人では食いきれない。みんなで分けるのが当たり前。つまりお金の出現が個人主義を育成し、それが競争を生んで今日の繁栄をもたらした。
 ところで紀元前100年のシーザーの時代のコインは銀で作られており、純度は98%だったそうである。それが紀元270年頃のコインの純度は2%に落ちているものの、それで買うことが出来たものはほぼ同じだったという研究成果があるそうだ。コイン自体の価値に頼って交換が行われていた時代から、国がその価値を保証する時代に移っていった。