2009/04/06

水仙と桜

 京都府内に、古い農家を直して住んでいる英国人女性がいる。和洋折衷の洒落た骨董品のような家に住みながら、彼女は庭でハーブを作っている。ハーブティーを楽しむために。
・・・イギリス人にとって水仙の花は、長い冬の終わりを告げて、人びとに元気をくれる特別なもので、日本人にとっての桜と同じです、とその英国人女性は言う。
 ロンドンですらカラフトと同じ緯度の英国の冬は寒いだけでなく、暗くて長い。そこに水仙の黄色い花が真緑の植え込みにすくっと立ち上がるように咲く。緯度の高い地域独特の、朝日のような真横からの陽射しに映えて本当に美しい。確かにあの花を見ていると元気が出る。

 家内は、日本の桜には水仙と違ってもうひとつの意味があると言う。それは「別れ」。
 咲き誇る桜を見るときは、日本に生まれて良かったと思う瞬間だ。ただ家内が言うように仲間と別れる季節でもある。現にここ最近で二回送別会に出ている。まだあと三回やらねばならぬ。 桜の本当に綺麗なのは僅か一週間。はかなさを感じのはそのせいもあるのだろうか。日本のわびさびの感覚に通じるのが桜。英語では表現しにくく、evanescenceという単語が一番しっくりくると有名な通訳者が言った。