2009/02/03

GOAL! TOC理論について



 社会人になってから何冊も読んだビジネス書の中でもベスト3に入るのが、このDr. Goldratの書いた「ゴール」だった。 大変気に入ったため、欧州、中国の赴任時代にスタッフに配ったことがある。 サプライチェーンマネジメント、というか、生産現場での工程管理によってどう生産高を上げ、在庫を減らすかを解いたのがTOC (Theory of Constrain 制約理論)である。
 超簡単に言えば、「遠足に行った幼稚園児がみんな手をつないで歩いている。 早く目的地に着くにはどうすればいいか。」という命題に応えるのがTOC理論だ。 この「ゴール」という本が日本で出版されてから、TOC理論は注目されて、その後多くの研究者と出版が増えた。 私が読んだのは2001年頃だったと思う。
 ビジネス書というよりも単なる読み物としても楽しめる。 主人公のさえない工場長が、絶え間のない工夫を続けるうちに大きな成果を出すという物語。 思考の最初のきっかけは大学時代の恩師に偶然空港で会って、そこで自身の自慢に「今度工場に新しい機械を入れたんです。 処理スピードが格段に上がりました。」と言う話をする。 するとその恩師が「それで・・売上は上がったのかね?」と聞く。 主人公は一瞬何を聞かれたのか判らず絶句する・・というもの。

 先ほどの遠足を例に説明を続ける。 早く目的地につくためには、早く歩かないといけない。 しかもみんなで。 歩調を併せて歩く必要がある。 誰の歩調に合わせるか? 一番遅い人の歩調に合わせることがいい。 そうしないと、みんな手をつないだまま倒れこんでしまう。 
 工場のラインもまったく同じで、ある工程が猛烈に速く作業しても、その工程の後に半完成品が山と積まれてしまう。 またその前の工程では組み立てる部品が追いつかないのでなくなってしまう。 つまりその工程に1億円の最新鋭ロボットを設置していたとしても、その能力自体が無駄になっている可能性が高い、ということである。 ではどうするかというと、一番遅い工程がどこか見出してあげて、そこを強化する。 前後の工程はそれに合わせて作業スピードや部品供給を行うべき、というのがこの理論である。 

 この考え方は実は製造管理以外にもいろいろな作業や、経営やマーケティングのあり方にも適用できると思っている。 グループで仕事をするのは、それがたとえ営業や、マーケティングであっても共同作業である以上、歩調を合わせる必要がある。 
 言い換えると、部分最適で考えるのではなくて、全体最適で考えるべきだ・・ということである。 どこか一部分をいきなり良くしても、全体が変わるように良くしないと別な問題が出ますよという警鐘でもある。
勉強するとまだまだ深い理論であり、面白い。