ある海外の大手企業の経営者に、経営判断するときの基準は何か聞いたところ、「儲かるかどうかで決める。」と答えた。 改めていま文字にすると何も面白くない、当たり前の回答に思える。 しかしそれを聞いたときはある意味新鮮であり、ある意味違和感を覚えた。 さらに続けられた言葉は、「我々は商人であって、SAMURAIではないですよ。」 ・・・そこに違いがあるのかと気付く。 自分は、儲けるというよりも、いい仕事をしたとか、人に喜ばれたという一種の美学に重きを置いているように思える。 これは日本人には多い傾向だろう。 この経営者の方も、決して銭亡者や短視眼ではなく、戦略的な投資を考えられる優れた人格者だ。 しかしビジネスをやっている以上は商人であって、カッコがいいという前に、しっかり商売として成立するところに重きをなす、と言う意味で割り切れている。 そうしないと、率いている社員や家族を路頭に迷わせることになる。 自分の美学のために人を危機に陥れていいのか、ということだろう。
似た話を最近聞いたのが、囲碁の世界で最近日本人は全く勝てない。 韓国、そして最近は本家の中国が日本のタイトルを総なめにしていく。 ある韓国出身の棋士が曰く、韓国・中国の棋士はかなりアグレッシブに勝負に出てくるので日本人が勝つのは難しくなっている。 ただ日本人には勝ち負けよりも、どういう手を打ったかを重視する傾向があり、仮に勝てても、そういう手は打ちたくないという美学がある・・ように見えるらしい。
こういう話を聞くと、どちらがいい悪いというよりも、人生における価値観の違いに思える。 囲碁の話で少し嬉しいのは、若年・壮年の囲碁は日本人はなかなか勝てないが、シニアになると日本人の方が強いのだそうだ。