訳あって突然化学の本を読み始めている。 高校生あるいは、私のような「理系落第レベルの文系」向けの本で、折を見て、またそれぞれをまとめようと思う。
動機は別として化学を再勉強してみて本当に良かったと思う。 なぜ高校生のときには全く興味がわかなかったのだろう。 先生の教え方の問題だと片づけていたが、考えてみると皆同じ教材に同じ教師で、片や理工学に進む人、片や私のように先生の御情けで危うく留年を免れた人間もいるわけで、やはり自分の責任としか思えない。
まずは読んでいて関心したことをいくつか挙げておく。 この程度のことを何故関心するのかと言われそうだが、基本中の基本に真理があったりもする。
★化学は、物質とは何か、なぜその物質が存在するのかを探求する学問。
★原子の中には真ん中に陽子、中性子があって核を形作り、周りを電子が回っている。
★実は陽子や中性子もさらに細かい粒子で作られていて、ここは素粒子論の世界。 日本人がノーベル賞をとるのはこの分野で日本のお家芸。(しかし日本の高校では素粒子論のイロハすら教えていないので研究者は将来を心配している)
★原子がいくつか繋がって分子となり、これがいろいろな種類の物質の基本単位となる。
★分子(その中の原子も)は実は常に猛烈なスピードで飛んでいる。 分子同士でぶつかり合っている。 物質はそういう常に振動している分子によって形作られている。
★火が燃えるのも、熱いお湯に手を突っ込んで熱く感じるのも、すべて分子同士のぶつかり合いから起こる化学反応だ。
★分子というものはトンデモナク小さい。 ピンポン玉を手に取る。 このピンポン玉が、それを形作る分子の一つだと仮定すると、ピンポン玉そのものは地球の大きさに匹敵する。 そういう超ミクロの世界。
★2000年前のクレオパトラ。 彼女を構成していたH2Oや炭素、鉄などの物質は、土に、海に、空気にばらまかれ、2000年後の我々ひとりひとりの体内に広く行き渡っている計算になる。 つまり物質は分子単位で地球の中で循環している。
★分子、というより化学全体に共通するルールは、みな楽をしたがり安定を好むということ。 エネルギーが充満していると、なるべくそのエネルギーを使い切って安定しようとする。
★そのために電子をくれてやったり、貰ったりして、分子は楽をしたがる。 取引される電子が、すなわち電気となる。
★化学という学問は、未知の領域がまだまだ山ほどあり、人間の叡智をしても全容が分からないこれからの科学である。 学校で学ぶのは、探求をするために必要な道具の使い方だ。
いまのところせいぜい分数程度の数学しかでてこない本なので読み続けられている。 まずはこの程度の理解はしておきたい。 お陰さまで、最近、身の回りにある物に対する見方が少しだけ、変わったような気がしている。