2010/04/01

旬の決断 -斉藤茂太の随筆から


 「絶対に間違えたくない、失敗したくない」 そういう決断に際して、人はなかなか決めることができない。 あーでもない、こーでもない、と決断が延びる。 そのうちに胃が痛くなってきて、もうどうでもいいや、という気にすらなる。 

 なぜこうなるかというと、ここで決めてしまった後で、「もし失敗したらどうしよう」とか、「もしもっといい選択肢が後から出てきたら悔しい」、ということを考えてしまうから。 そんなときに、必要なのはいま一番いいのは何か、という基準で物事を決めていくこと。 その上で、その選択が一番いいのだと信じ込むことである。

 物事を決めるにはタイミングが必要だ。 だらだらと考え続けて機を逸することも多い。 決断も旬を尊ぶべきだろう。 確かに人間は神様ではないのでその先、想定外のことも起こるだろうし、結果として失敗することもあるだろう。 そんなときはどうするか。 またそのときの、旬なベストを選択することだ。 

 ・・・年齢が若いときには失敗してもリカバーする体力も気力もあるので、失敗を恐れない。 年齢を経ると失うことも多くなるので、リスクをとることにより大きな勇気が必要になる。 斉藤茂太のこのアドバイスは実は中高年に向けたメッセージだ。