2011/07/10
ドイツと製造業
先日或るドイツメーカーの営業トップと食事をしていて、こんな話しをした。
「この15年近く、イギリスやアイルランドは外資を呼び込んでリーマンショックまで景気が非常に良かったよね。 一方でドイツ経済はかなり悪かった。 いまは丁度それが逆になっている。 ドイツが欧州経済を引っ張り、あれほど景気の良かったスペイン、アイルランドなどがPIGSなどと言われている。 EUとして、一緒にいることでうまくバランスが取れているね。」と語りかけると、こういう答えだった。
「基本的には自前でものづくりをしっかりすることだと思う。 アイルランドやスペインは、外資に対する政府の優遇によって景気が良くなっていった。 しかしその結果として賃金が上がった。 また政府もいままでの投資の元を取ろうと優遇税制を撤廃する。 そうすると外資は手のひらを返してもっとコストの安いところに去っていく。」
「ドイツの場合は、東ドイツと一緒になった後に負担が大きくなり大変だった。 ただそれがいまはようやく終わり、軽くなった。 かつ苦しい中でもしっかりものづくりをしていたことが、いま効いている。 イギリスやアメリカのように金融テクニックを駆使して汗をかかずに儲ける方法や、政府の優遇策だけに頼って外資を呼び込む方法をとっていたら、おそらく今日はなかったと思う。」
「日本とドイツはものづくりに思い入れを持つという意味では似ているところがある。 長期的な視野に立ってものづくりを捨てるべきではない、そうすれば将来必ず報われる。」
日本のものづくりのやり方がいま大きく変わっている。 どんどんものづくりが海外に逃げていき英米型の経済システムが進行するなかで、10年後ははたしてどちらの結果になっているだろうか・・?