2009/01/23

センミツ (1000回トライして、2つか3つしか成功しないこと)


 この言葉は、学生時代に親父の会社でバイトしたときに教わったと記憶している。 引合があっても大きな商売になるほどに競争が激しく、政治がらみのビジネスは、まっとうなやり方では取れない。 経験的に10に1つどころか、1,000に2, 3しか商売が取れないという意味だった。

 
 前職の商社時代にも似たような表現があった。 新人のころ、「だったら分母を大きくすればいい。 10,000回トライすれば20, 30と商売が取れるということじゃないか・・。」と考えた。 これが信条で実際にその精神で成績は良かったと記憶する。
 
 何を売るか、また所属する業種によってもこの比率は違う。 
商社にいるとき、実際には1,000に2,3よりは良かった。 
 一番成功率が低いのはインド政府など当時の途上国による国際入札。 経験的に100に1つだった。 それが2回に1回だったときは、そのビジネス自体スジが悪く、誰も引かないババを引いたと考
えたほうがいい。 特定客(いまの言葉ではキーアカウント)だと確率は上がって、3回に2回以上商売にした記憶がある。 新規顧客でも2回に1.5回は売ることができた。 
いづれにしても効率がいいに越したことはないが、とにかく分母を増やして、数打てば中るという精神を貫いていたのが商社時代だったように思う。
 年齢を経ると、体力と気力が衰えるのか、やたら効率を追い始める。 楽して稼ぎたい訳だ。 いまの会社に20数年居るうちに、決まって当たり前、決まらないことが悪だと思うようになっていることに最近気がついた。 効率を追い求めるのは悪いことではないが、知らず知らずに決まらないこと、すなわち失敗を恐れるようになっていたのは残念だ。
 センミツという言葉は、単に商売が決まる確率を言い表したのではなく、恐らく、「商売を決めるには1,000回同じ事を繰り返して、失敗し、それでもめげずに続けることが大事だ。」という戒めだったのではないか。 失敗を恐れ、効率に気を取られるあまり、商売の基本中の基本を忘れていたように思う。
 簡単に商売が取れているとしたら、ひょっとしてババを引かされているのかも知れない。