MMTを比較的簡単に説明している。高校生向けにも分かるよう書いたとしているが、残念ながらその試みは失敗しており、やはり大学生以上だろう。むしろ筆者が企業人なだけに、一般社会人には共感を得ると思う。
MMTの理論をコロナ禍や、今後の少子高齢化対策に向けてどう使うべきなのか、筆者の経営現場感覚で書かれている。
本の内容としてはケルトン教授のMMTを柔らかくして日本向けにアレンジしたイメージだろうか。日本における財政政策を考える上での一考に、またMMTを本格的に勉強したい人向けの入門書としてはお勧めかも知れない。
(追記)
GX移行債という名前のもとで国債を追加発行することが議論され始めた。普通の国債で構わないのだが、財務省との折り合いから、こういう名前にせざるを得なかったのだろう。私はMMTの立場から賛成。ただし、円建て、かつ極力外国人保有量は調整したほうが良い。またその資金も、なるべく国内に循環させないと経済効果が少なくなる。もちろん合法的、競争的である必要があるが、手法についてのツメは急いで欲しい。(2022.8.23追記)