2011/05/07

台湾の震災対応


ある国際的な台湾企業で役員をされている日本人の方に伺った。 台湾でも数年前に大きな地震があった。 日本と同様に被災者への援助が行われたが、その中で日本ではあまり考えられない対応があったそうである。 国やボランティアの寄付によって、まず、屋台の施設や食材が被災地に無償で送られた。 その屋台は被災者の腹を満たすというよりは、商売のネタとして使う。 被災者それぞれの自慢の味をその屋台を使って再現し、そこに全国から人が駆けつけ、たらふく食し、帰っていった。 

こういう話を聞くと、中国民族というのは金の使い方を知っているとほとほと痛感する。 お金を寝かすのではなく、「回す」のである。 東日本の今回の震災で被災された人々は本当にお気の毒としかいいようがない。 善意の人々、電力会社や国から義援金、補償金、援助金と支払われるが、失ったものを補うに足るものではないだろう。 日本人的な感覚では、その日の生活費に回るか、あるいは貯金に回ってしまうだけで継続的な生活支援にはつながりにくい。 失った家を再建できたとしても、職場を失った方も多く、将来への不安は如何ほどのものだろうか。 お金の「ストック」はもとより、「フロー」を失ったショックが長い目で見ればよほど大きい。  
資金援助の必要性はもちろんだが、「フロー」をどう作るかが大切。 率直に言って日本人には不得手な分野であるが、だから知恵を絞らないといけない。