2012/02/24

長くビジネスを続けるために

大手化学メーカー、エレクトロニクスメーカーの経営者として著名な方に話を伺う機会があった。
印象に残ったこと。

1. 長くそのビジネスが続くことを考える
2. 一社購買はしない(競合先も必要)
3. 7:3で近郊させて価格維持する

 事業部長時代にある技術者が独占的な特許を取れる開発品を持ってきた。 さっそくそれを競合先2社ほどへライセンスしたそうだ。 独り占めできる技術なのに何故と訝る技術者に説明したのがこの3つ。 短期的な圧倒的ポジションだけを考えてはいけないこと。 顧客側も一社独占の技術を長く使うことは危険だと判っているので、かならず競合先に類似品を作らせるか、その技術を使わなくていい方法を考える。 さらにマーケットシェアは自分が7割、他社が3割位を持っているのが一番競合が少なく、価格が安定する。 つまり不要な競合により値崩れするのを防ぐ。

 敢えて敵に塩を送る。
長期的な自分の利益、ひいては相手の利益になるから。

あまりシェアを取り過ぎるのは却って危険だよ、ということである。

2011/12/08

最強の営業戦略 栗谷仁氏著


B2Bマーケティングをステップごとに整理されているので、一通りのことを理解したうえでまとめたいときに読むのがいい本。 先の2冊と重複する部分があるのは、それがセオリーだからだろう。 栗谷氏はやはりコンサルティング会社出身。 

  1. (総論) 営業の競争力強化のチェックポイントは何か
    • 売上の低い顧客への値引きを多くしていないか?
    • 黒字を出している顧客の利益で赤字の顧客を補填していないか?
    • 利益率が高く、ポテンシャルの高い顧客やセグメントを最優先にしているか?
    • 顧客視点でのニーズを重視しすぎて、競合他社に比べて自社が弱い顧客ニーズを訴求していないか。 顧客のニーズプライオリティと、自社から見た顧客ニーズを満たすための相対的な競争力は必ずしも比例しない。(自社の競争優位が保てる顧客ニーズを訴求しないといけない
    • 営業活動の流れをプロセスにまとめて可視化できているか。
    • 顧客訪問回数をリターンが取れる順位付けにしているか。
    • 営業体制は十分か。(組織編制、スタッフ、ノウハウ、会社のサポート、軍資金などなど)
    • 目標設定、活動モニタリング、レビュー、アクションのPDCAは回っているか。
  2. ターゲット選定
    • よりビジネスを広げるためには既存商品と既存顧客の深堀が第一義だが、新規顧客、新規商品への進出を考えることも多い。 その場合の整理の仕方として、マトリックスの一辺を顧客(既存と新規)、一辺を商品(既存と新規)すると判り易い。 もちろん双方が新規だとハードルが高いのは当たり前。
    • 縦にシェア、横に顧客売上をプロットしてシェアチャートを作るが、縦に競合先もアドレスしていない潜在市場を、横を顧客ではなく商品をプロットすると潜在市場を含めた市場規模チャートが出来る。 
    • 流入・流出分析: 前年と今年の売上を比較して、新規顧客と流出顧客(今年は受注が無かった顧客)の売上規模を算出する。 その顧客がそれぞれどの競合先から流れ、流入したのか、その理由は何かを分析してみる。
    • 顧客別の収益性への理解:
      売上=利益+コスト、 コスト=変動費+固定費。 販売価格がコストを下回った場合、そのコストが固定費を割り込み(利益が無くなる)、変動費をも割り込んでいる(限界利益が無くなる)場合は、売れば売るほど赤字になっている状態。 すぐに売るのをやめるか、売値を上げるか、変動費を下げるなどの対策が必要。
  3. 営業効率を上げる努力
    • 営業のドアオープニングからビジネスのクローズまでのプロセスを作る。
    • その間の作業を定義し、最適化する。
    • ここで狙う顧客のセグメント、プライオリティ付け、顧客ごとへのアプローチを定義する。
    • 実際の営業活動のログを取り、比較する。
    • 効率の悪い部分を特定して改善する。
  4. 一般論として、営業訪問およびその準備、企画的業務に持ち時間の多くを費やす必要がある。 
赤字は重要ポイントというよりは、自分でやったことが無かったので機会があればやってみようという箇所。